日  程 2000年7月28日〜30日
地  域 南アルプス 甲斐駒ケ岳 赤石沢奥壁Aフランケ赤蜘蛛ルート登攀
メンバー 梁瀬・河野(記録)

玄倉川キャンパーの悲劇が起こった、去年のお盆。
天気予報を甘く見ていた我々は、初日の甲斐駒ヶ岳アプローチ
から大雨にあい、翌日もどしゃぶりの雨はやむことがなかった。
壁登りどころの話ではなく、既に登山道まで川が氾濫し、
ほうほうの態で逃げ帰った。
 
あれから1年。
嵐を呼ぶ女ことクイーンアメダスJOE様現る所に雨あり。
さりとて赤蜘蛛チームは再び暗雲立ち込める甲斐駒へと向かった・・・。
  
7月28日(金)
戸台口の駐車場に着いたのは朝の5時を回っていた。
超眠いので、始発のバスは見送り朝寝。
8:20のバスに乗車、バス中でも爆睡モード。
北沢峠からのアプローチ、久々の重荷にあえぐ。
おまけに雨も降り始める。ちょっと、どういうこと??
まあ、おNEWのかっぱだし、いーけどさー。
悪態をつきながら、亀の歩みで登る。
 
頂上には既に登山者はなく、冷たい霧雨が降っている。
今年も頂上からの絶景を眺めることができなかった。
 
黒戸尾根を八合目まで下る。テン場につくがやはり誰もいない。
何でー?
既に靴の中もぐちょぐちょ、一旦テントに入ると二度と靴を履く気には
なれず。梁瀬氏が決死の思いで水を汲んできてくれた。謝々。
雨は夜になっても止まない。天気予報では、明日はましのようだが、
ここまでは去年と同じ状況ではないかあー。ホントに回復すんのか?
誰のせいだー!私のせいか、ごめんなさい。
下着までびしょぬれになった梁瀬氏は、よほどパンツが気持ち悪かったらしく、
小生がテントから出ている間、ろうそくでお尻を炙っていた。
 
7月29日(土)
朝、目覚めると快晴・・なわけないでしょうが。
6時半にテン場を出発。取付までのアプローチは途中フィックスロープに
助けられながらも総じて悪し。
 
1P目 25mA1(河野)
出だしのハングでばたついている内に、赤石沢からガスが上がってきて
一面真っ白になってしまった。何かヤバイぞー。
単調なA1のはずなんだが、おちびちゃんにとってはどのボルトも上段で
届かず、かといって最上段に立つ気にもなれず、ちょんぼ棒を使いまくった。
 
2P目 20mX(梁瀬)
きれいな大ディエードル。山渓ルート集には40mとあるが、途中の
ビレイ点で一旦きる。雨がぽつぽつ降り始めた。
 
3P目 40mW、A1(梁瀬)
とりあえずもうちょっと様子見てくるとそのまま梁瀬氏がリード。
スリングがなくなったーとか届かねーとか上から聞こえるが、
雨が更に降ってきて、まともに上を見られない。
きれいなクラック&凹角なんだが、側壁が濡れてしまったので
足はジャミング。柔らかいVXを履いているため、足が痛いよー。
 
4P目 45mA1、W(河野)
雨はやんだようだったので、そのままつっこむ。
ホントニイッテイイノカ?ココナラオリタホウガハヤイゾ・・・・。
ハング下をアブミトラバース、全ピッチの中でここが唯一
ピンが近かった。ハングを超えた後はスラブを右上と
記載あるが、つるつるスラブを行く気になれず、
残置ハーケンの見える段状の壁を右上。
 
5P目 40mA1、W(梁瀬)
大テラスからの出だしがどこかよく分からない。
ルート集の書き方悪いぞ。そんなとこないじゃないか。
このピッチ終了点付近は浮石が多く、こえー。
 
6P目 40mA1(梁瀬)
一直線に延びるクラック。梁瀬氏に喜んでリードを譲る。
キャメを駆使して難なくいってしまう。
小生、このピッチがフォローにも関わらず一番しんどかった。
アブミビレイの梁瀬氏は、ずっと痛い思いをしていたんだろー。
時間かかってスイマセンでした・・。
 
7P目 30mA1(河野)
このままスーパークラックに取り付いてもよかったんだが、
恐竜カンテを越え、直上。ガスが晴れ、赤石沢まで
ものすごい高度感。かっちょいー!
ここのピッチでとっても遠いピンがあったのに、
そこにヌンチャクを架けなかったため後続の梁瀬氏に
えらく苦労をかけてしまった。ごめんなさい・・。
 
8P目 30mW−A1(梁瀬)
壁の中の最後のピッチ。段状の岩場からブッシュ帯へ。
 
9P目 40mU〜V(河野)
ブッシュ混じりの岩場。簡単なので支点なく、
A1ばっかりやっていたためこのピッチが一番恐かった。
 
10P目 30mU〜V(梁瀬)
Aフランケの頭の岩小屋に出て終了。既に19時を回っていた。
取り付きから10時間もかかってた・・。
ここからは、鼻歌でテン場まで帰れるはずであった。
 
しかし!
我々が昨年下見しておいたはずの岩小屋と
この終了点の岩小屋が全然違う。一体ここはどこだ??
しかも黒戸尾根が遥かかなたに見えておるでないか。
既に辺りは暗くなっている。やばー。
とにかく、踏み跡を辿っていく。が、途中から下り道になってきた。
様子を見に行った梁瀬氏が、先にフィックスロープがあるという。
それってまた八丈沢に下ってるんとちゃうん???
どうも道を間違えたようで、また上り返す。
あっち行ったり、こっちうろうろ、たまに見つける赤テープに狂喜しつつ、
踏み跡を徘徊しまくり、ようやくニセ岩小屋に辿り着いた。
うう、これでホントに帰れるぜ。
21時、ようやく無事生還。疲れた〜!
 
7月30日(日)
朝、のろのろと起き出し、のろのろと出発。
中央稜をものすごいスピードで登ってるパーティがいる。
我々が黒戸尾根をのろのろ登っているうちに
ひょっこり尾根に出てきた。はえー!
今日の甲斐駒頂上も、当然ガスの中、4回目の登頂にして
またもや絶景を見られず。
今日は沢山の人で賑わっていた。皆さん、私のせいで
天気悪くてごめんなさいねー。
ザックにヘルメットをぶら下げている梁瀬氏を見て、道行く
オバサン方に何回か「鋸岳から縦走ですかあ?」と訊かれた。
我々はどっから見てもクライマーには見えないようだ。うーん。
 
仙水小屋までのろのろ下り、小屋でバス時刻を確かめると、
ぬな、あと20分しかないじゃないか。こっから所要時間は
50分だぞ。んが、これを逃すと2時間半バスが来ない。
小屋の人に走っちゃえーとそそのかされ、私としてはここで
昼寝でもよかったんだが、後にひけなくなってしまった。
んじゃ、がんばりまーすと手を振って見えてるうちだけ走って
後は適当に早足で歩く。
運良くバスに間に合い、無事帰途につく。
 
3日間、総じて天候には恵まれませんでしたが、何とか完登する
ことができ、非常に嬉しいです。
私がA1に不慣れなのと、ちょんぼ棒を使いすぎたために(あぶみの
架け替え回数が非常に増える)、かなり時間のロスがありました。
これは今後の課題として練習&新たなチビ用新型ちょんぼ棒の
開発に勤しみたいと思います。
全ピッチほとんどA1なので、ルートファインディングの必要もなく、
A1技術を磨けばかなりのスピードで登れるでしょう。
梁瀬氏が取付で長スリとビナ2、安環1を残置してきてしまったので、
皆様回収がてら是非登攀してきて下さい。
 
それと、早起早出は必須ですね。我々出発が遅すぎました。反省。
 
<使用ギア>
9mm×50mロープ×2本
キャメロット一式×2セット
アルパインヌンチャク13セットくらい
アブミ他
ナッツ、ピトン類は携行したが使用しなかった。

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