赤い顔した酔っ払いオランウータン?
名前の「ショウジョウ」は漢字で「猩猩」と表し、中国の架空の動物を示します。猩猩は、世界大百科事典(平凡社)によると、「一般には猿に似ているとされ、長髪で人の顔、人の足をし、その声は小児の泣くようであり、群れを作ってはって歩くという」とあります。酒がたいへん好きな動物と伝えられ、日本では、赤面赤毛のめでたい動物と考えられてきました。現在では、オランウータンを指します。
猩猩の赤い顔色と髪が薄紅色の花に似ていること、また、地面に広がっている葉を袴に見立てて「ショウジョウバカマ」と名が付きました。
茎の高さは10〜40センチ、花は10〜15ミリで、茎先に3〜10個つきます。猩猩が想像上の動物なので、イメージがわきませんが、オランウータンに置き換えたとしても、この花の見立てには似つかわしくない気がします。耳かきのポンポンを赤く染めて、地面に突っ立てたような花。あるいは、せんこう花火が飛び散る様子−−というのが、筆者の感想です。
◆科目・特徴 ユリ科。
◆育成地・分布 山野の湿った所や渓流沿い。北海道、本州、四国、九州
(写真=東京・向島百花園で。1997年3月26日撮影)
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