エレガントな貴婦人
古くは「カタカゴ」と呼ばれ、転訛(てんか)してカタクリと呼ばれるようになりました。万葉集で「もののふの八十(やそ)をとめらが汲(く)みまがふ 寺井のうへの堅香子(かたかご)の花」(巻十九、四一四三)と詠まれています。
「カタカゴ」は「傾いた籠(かご)」を意味し、花の形をカゴに見立てたところからきているようです。
反り返った花びらはエレガントで、ガコというよりは、湯上りで長髪を後ろに束ねた貴婦人といった印象を受けます。
料理の片栗粉は、本来この地下茎の「でんぷん」ですが、現在はジャガイモが代用されています。
◆科目・特徴 ユリ科の多年草。花茎の高さは15センチ。
◆育成地・分布 山地や丘陵。北海道、本州、四国、九州。
(写真=栃木・佐野、かたくりの里で。1995年4月6日撮影)
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