ヤマトリカブト

開花時期8〜10月
山鳥兜

殺人事件にも使われた猛毒の花

 1986年(昭和61)に沖縄・石垣島を舞台とした「トリカブト殺人事件」が世間を騒がせました。トリカブトの毒性を利用した殺人事件で、この事件をきっかけに「トリカブト=猛毒植物」という認識を持たれた方も多いのではないでしょうか。ヤマトリカブトの根にはアコニティン、ヤパコニティンと称する猛烈な有毒アルカロイド物資を含んでおり、致死量は約1グラムと言われています。この毒を矢の先に塗って、古来より毒矢に用いられました。現在ではその毒を利用して、鎮痛剤、強心剤、強壮剤に用いられています。

 ヤマトリカブトは漢字で「山鳥兜」と表します。花の形が、舞楽の楽人(怜人)が常装束に用いる冠「鳥兜」に似ていることから名付けられました。

 高さ80〜150センチで、花は長さ約3センチ、鮮やかな青紫色をしています。その青紫色の光沢を放つ花は、見るからに毒々しさを感じますが、人の目を引き付ける魅力を持っています。秋の尾瀬に咲くヤマトリカブトの群生は鮮やかで、多くのハイカーの目を楽しませてくれます。

 別名「カブトバナ」「カブトギク」「人殺草」「オオカミの毒」。花言葉は「人嫌い、復しゅう」。

 ◆科目・特徴 キンポウゲ科。
 ◆育成地・分布 山地の林中。本州(中部以北)

 (写真=尾瀬で。1999年7月18日撮影)


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