〜「のび太の雛見沢事件簿」裏事情〜

発案

●思いついたきっかけは、ドラえもんについてネットで調べた時。
「のび太の恐竜2006」のテレビ放映を楽しんだ後に、初めてネット上でドラえもんについて調べました。
その時に、マンガの短編に登場する時間移動の話をリストアップしているサイトと遭遇。
時間移動を鬼隠しとして使用したら面白そうだと考えたのが、発端となっています。

構想

●当初のアイデアでは、のび太は3巡する予定となっていました。

1回目:ドラえもんが鬼隠しにあって、脅えきったのび太が、梨花の死亡を知り過去へ戻るまで。
・のび太を探していたレナが鉈を持っていたことに脅える。
・金属バットを装備していたのび太が、背後の足音に脅えて、思わず女性を殴り倒すイベントあり。

2回目:ドラえもんと再会して、部活メンバーと協力して奮闘するが、ドラえもんがテイザーを受けて故障し、再度過去へ戻る。
・別行動となったのび太を心配して、レナが探しに行く。

3回目:スペアポケットを持ち出したのび太が、梨花と一緒に裏側での行動を開始する。
・当初において、鬼隠しから守ろうと、富竹と鷹野を気絶させてポケット内に匿う。
・人目を避けるために、梨花と共に祭具殿に隠れて物音を立てる。
・事情を知った鷹野が逃亡するが、誰かに殴られて倒れているのを発見して連れ戻す。
・ラストにおいて、ようやく真犯人が判明する。

3人ののび太が遭遇しないようにするには、別個に3つの拠点が必要となります。さすがに3チームを接触させずにニアミスというのは、難しいと判断しました。

●祭囃し編の踏襲について。
できれば祭囃し編とは違う展開にしたかったのですが、祭囃し編はあまりに完成されていて、代替案は思いつきませんでした。
また、この作品においては48時間作戦の存在意義は薄いのですが、一巡目の脱出における動機付けとして使用しました。

●ひみつ道具をうまく活用できていないのは、劇場版のお約束です。

キャラ

●のび太の活躍
主役という事もあり、のび太がいろいろとおいしいところを持っていきましたが、バカを晒したりみっともない場面もありましたので、それなりにバランスは取れていたんじゃないかと思います。
「のび太の宇宙開拓史」が大好きなもので、魅音の代わりに小此木と決闘までしました。

●登場キャラはできる限り削減。
祭囃し編で圭一やレナの見せ場が少ないのは、キャラが多すぎるからだと考えたため、こちらでは減らすようにしました。
登場しない世界もあるということから、圭一は不参加。物語を主導する役割のため、どうしてものび太と被りますし。
羽入も無理に登場させる必要がないため不参加。
詩音は、人減らしが理由で不参加。
のび太達の出番を考えると、大人達も不参加としました。
部活のレギュラーキャラについては、それぞれ役割を与えて差別化を図ったつもりです。

魅音:リーダー。議事進行及び、総責任者。精神面で弱いところは幾分か成長させました。呼びかけは「のび太」「ドラえもん」
レナ:副官。魅音の補佐役。常識面での客観的な指摘や、心理面でのフォローなど。あとは、嘘発見器なんかも。「のび太くん」「ドラちゃん」
沙都子:参謀。作戦立案やトラップ担当。悟史がらみやのび太との関わり方で、ヒロイン的な立ち回り。「のび太さん」「ドラえもんさん」
梨花:助言者。彼女の口にした助言は、時間移動したのび太達から教えられた情報だったわけですが、ループしていた事実でカモフラージュしました。「のび太」「ドラえもん」(魅音と同じ)

●脇役について。
圭一は、部活の一番重大な局面に同席していないので、他の世界にくらべると、ちょっと精神面での成長も低く、部活メンバーとの親密度も低くなってます。
詩音はまあ、出番は無くとも喜ばしい展開ではないかと。
入江にとってもハッピーエンド。研究成果は「東京」が独占しますが、いずれ「東京」が解体されるときにでも、公表されるでしょう。
鷹野はしばらくは診療所暮らしとなり、彼女の助力がなければ薬の量産はできません。
富竹は多少出世して、鷹野ともうまくいったはずです。
大石は真相に辿り着くことなく定年退職。魅音経由で知る機会があるかもしれません。
赤坂は何も知らずに暮らしているでしょう。オヤシロ様の祟りが起きずに、梨花が死ななかったのだから、望ましい結末だと思います。

エンディング

●クロス先がドラえもんと言う事もあって、基本はハッピーエンド。
ラストに圭一が登場するのも、欠けたままでは物足りなく思えたからです。

●悟史の回復はドラえもん補正。
「澪尽し」のエンディングで悟史が回復してますが、「祭囃し」では回復していません。
私は「祭囃し」が好きなので、そちらへ準拠させようと思ったのですが、ドラえもんには治療手段があるのだし、「ドラえもん」的ハッピーエンドを選択しました。
お医者さんごっこカバンでは安易すぎるので、ちょっと捻ってウルトラスーパーデラックスワクチンを使用するつもりでしたが、雛見沢症候群のデータ表示というアイデアが浮かんだ事で、定番のお医者さんごっこカバンが登場しました。
このアイデアにより、入江や、特に鷹野への救いを明示できたのは、「ドラえもん」クロスならではのメリットだと思います。

●鷹野は罪が重すぎるので、個人的には不幸になるべきだと考えています。
鷹野に同情すべき過去がある事はわかっていますが、それで許されるほどその罪は軽くないと考えています。
多くの世界で村を皆殺しにしているし、古手夫妻の死についてはまるでいいわけができません。
「ドラえもん」だからこそ、彼女はハッピーエンドを迎えましたが、私は「ひぐらしのなく逆転」ぐらいの結末がふさわしいと思っています。