よくわかる「ダイソード」
〜キャスト〜
百地王太 (衛宮士郎)
千導今夜 (遠坂凛)
一峰 (柳洞一成)
村長の息子(間桐慎二)
神の剣 (セイバー)
神の斧 (バーサーカー)
神の槍 (ランサー)
神の刀 (アーチャー)
神の小手 (キャスター)
神の鉄球 (ライダー)
神の聖杯 (イリヤ)
始めに立ちしもの(ギルガメッシュ)
「私の名はセイバー。私を召喚したのは、貴方ですか?」
「ああ」
「でしたら、仕方ありません。古の契約により、今より三たび目覚めて、三たび力を貸しましょう。ですが、……私は眠いのです」
「は?」
「あまり起こさないでください」
「よく聞いてください、シロウ。私たちの能力にはそれぞれ特徴があります。バーサーカーは魔術をまるで使えません。ですが、その反面、力は格段に強い!」
「だが、貴様にセイバーを倒せるかな、ランサー?」
「どういう意味だ? 人の僕に身を落とされ、英霊本来の力も出せないようなヤツだぜ?」
「ヤツは、人と共にあることで、むしろ、強くなっているのかもしれん!」
「動かないことね。すでに勝負はついたのよ。貴女達が動けば私はここで魔術を使う。セイバーは生き延びられたとしても、この教会は消し飛んでしまわよ」
「く……」
「動かないでと言ったはずよ。報いを受けなさいセイバー!」
「怯まないでください、シロウ!」
「怯んでない!」
「それで……いい」
「セイバー?」
「シロウ。貴方にとって、私を召喚したことは単なる偶然に過ぎないかもしれない! ですが、私にとって貴方は偶然ではない! 長い時を待って、初めて手にした、私と真に思いを共にできる者、――友なのです!」
「シロウ! ライダーです!?」
「なにっ!?」
――っ!
「残念です。貴女を仕留める唯一の機会を逃してしまったようですね」
「いけない! 結界を張られては私は平気でも……」
「遠坂、離れてくれ。このままだと……」
「だめよ。時間がないわ! このまま」
「衛宮? 遠坂? 何を……」
「一足先に大聖杯で待ってるぜーっ!」
「どうだ! これが、お爺さまからもらった新しい身体の力だ! 怖かったら泣くんだ! 泣いて謝るんだよ!」
「いいことを教えてやろうか?」
「なに?」
「俺はここ数日……、遠坂とふたりですごすことになった。それから、ほとんど眠ってない。はっきりいって……ナチュラル・ハイだーっ! なんも怖いことあるかーい!」
「衛宮……。まさか二人っきりのときに何かあったのではあるまいな?」
「ないっ、ないっ! なんにもないっ!」
『なぜ、こんなことをするのです? こんなことに何の意味があるのです? 彼等の戦いには意志があり、意味があった! ですが……、私たちに何がある? この世に苦しみを捲くことにどんな必要があるというのだっ! 答えろ、ギルガメッシュ!』
『意味だと? 愚かな。全ては”王”が定めることだ! 元よりこの世に意味も目的もありはしない! 永遠に続く無! その何も持たぬ無に運命を与える者こそが”王”。ならば……我の定めることが意味であり、いわば、それが”世界”なのだ!』
「セイバー。俺はお前の記憶を、お前が出会った出来事を見てきた。俺と同じように苦しみ……、でも、その中から立ち上がってきたのを知った。だから、俺は敵よりも誰よりも今は、お前に負けたくない。……話してくれればよかったんだ」
「ですが、自分の口からはちょっと……」
「俺を友だと言ってくれたな、セイバー。今は俺もそう思う!」
「聖杯が自分の意志で魔力をせき止めようとしているのです」
「イリヤ! どうして、聖杯になってしまったんだ? 俺は……」
「こうすれば、サーヴァントは聖杯の力を引き出せない。そのかわり……、セイバーも復活の力を使えないよ」
「わかった! つまり、コンティニューなしの一回勝負ってわけだ!」
「私と戦え! 衛宮士郎」
「やめろ、アーチャー。俺とお前が戦ういわれはなにもない!」
「この娘を殺すと言ってもか?」
「アーチャー、貴様っ!? 戦いたいっていうなら、戦ってやる! だけど、遠坂には関係ないはずだ!」
「私はお前を殺す日のことだけを考えて、長い時を待ったのだ! 簡単に殺されるなよ! もっと抵抗するがいい! もっと戦え!」
「アーチャー、貴方の力を私に貸してください」
「それは構わんが、今の私とお前の力では、ギルガメッシュを仕留めることは……」
「わかっています。ですが、私たちはともかく、シロウをここから逃がしてやりたい」
「……わかった」
「勝負をかけます。次の一撃でケリをつける。シロウの魔力を全て私にください!」
「ああ。初めからそのつもりだ!」
「面白い! では決着をつけるとしよう、セイバー!」
――っ!?
「シロウ……くじけないでください」
「なに!? 今、なんて言ったんだ、セイバー?」
「全てを貴方に託します。貴方ならきっとできます。だから――」
「何を言ってるんだ、セイバー!?」
「決してくじけないでください、シロウ!」
「セイバーっ!」
「これでもう、アンリ・マユの呪いもない。自由に動けるだろ、セイバー。今までの分も、自分の思い通り存分に戦ってくれ」
「ええ。そうですね。ですが――」
「え?」
「共に戦ってもらえませんか、シロウ? ギルガメッシュを倒すには、私では力不足なのです。お願いします。貴方の力が必要なのです」
「あ、ああ……。もちろんさ。もちろんだとも!」
「――しつこい! しつこい! しつこい! しつこいっ! 何度殺せば気が済む! なぜまた立ち上がる? なぜ諦めぬ!?」
「貴様なんかにゃわかりゃしない! ひとりで永遠に支配し……、ひとりで永遠に生きようとする者にはな!」