よくわかる「クロノアイズ」
注意:マンガ「クロノアイズ」における致命的なネタバレが含まれています。
〜キャスト〜
西郷大樹 (衛宮士郎)
アナ (セイバー)
クレオ (キャスター)
退屈丸 (アサシン)
エルザ (バーサーカー)
ペル14 (イリヤ)
クロノス (ユスティーツァ)
パペッティア(間桐臓硯)
ハデス (間桐桜)
「衛宮士郎――ですね?」
「え、え?」
「貴方には今日からサーヴァントとなってもらいます。断っておきますが……貴方に選択の余地はありません」
「衛宮っ、おぬし最近なにか女騎士の恨みを買うようなことでもしたのか?」
「どーやったらそんな器用なマネができるんだ!?」
「サーヴァントには誰でもなれるわけではありません。難しい条件があります」
「条件……ね。まさか俺に隠された魔術があるとかっ……ていうわけじゃないんだろう?」
「ええ。その条件とは、潜在的な知力・体力が高い人間であること。そして──、にも関わらず万が一、命を落としても歴史になんの影響も与えない人物であることです」
「では、軽く自己紹介から始めましょう。私は古代ギリシャから来た、キャスターです。戦闘は得意ではないので、皆さんにおまかせします」
「私のこうどねーむは、アサシン。特技は剣。男ならば、剣だと思わぬか?」
「……そ、そうかな?」
「■■■■■■■■──!」
「彼はバーサーカー。私と同じ時代の人間ですが、事情があって言葉が話せません」
「そして、私がセイバーです。中世の生まれで、特技は剣です」
「私はイリヤスフィール。みんなをサポートするために作られたホムンクルスなの」
「シロウ! 貴方はよくも! 素人だというのに先走るとは! おかげで皆がどんなに心配したと……」
「あの場合は仕方ないだろ!」
「おぬしもわかってやるのだな。結局、セイバーが一番心配していたのだ」
「な、何を言っているのですかっ!?」
「むむ、怒りの矛先がこちらへ……」
アサシンの正体は、なんと佐々木小次郎だった!(本当)
「ということは俺たちの選考基準も怪しくなってくる」
「ですが、シロウ。私の正体を知るとがっかりすると思います」
「そ、それで……?」
「私の名はアルトリア……です」
「アルトリア?」
「その、アーサー王と呼ばれていました」
「アーサー王だって? 立派なもんじゃないか!」
「ですが、私が何をしたというのです? 蛮族を退け、国の統一も果たしました。しかし、肉親にだまし討ちされて、たくさんの民を死なせてしまった。このような情けない過去を人には話せません」
「ほ、本人でないとわからない悩みって……あるもんだな……」
「こたえるよな……」
「シ、シロウ? 確かに仲間だと思っていたキャスターにこんな仕打ちをされてはつらいですが……」
「ダンナがいたなんて」
「は?」
「キャスターに男がいたなんて……」
「そっちですかっ!」
「少し年上のキレイなおねいさんっ! あ、憧れていたのに……。心の底では憧れを抱いていたのにっ!」
『本当の事をお話しましょう』
「ユスティーツァさん?」
『サーヴァント選考基準が歴史上不必要な人物であるというのは事実ではありません。あなた方の誰か一人が死んだだけで”歴史”そのものが消滅する危険があるのです』
「大聖杯をぶっ壊す!」
「それでは貴方達が……」
「俺がそうするって決めたんだ、キャスター。世界のためならどんな手段をとってもいいなんて……思っていない」
「…………」
「アサシンはどうする?」
「私? 剣の腕を人の役に立てたいと考えていた私が拒むとでも?」
「バーサーカーは?」
「■■■■■■■■──♪」
「イリヤ?」
「私はシロウたちのサポートが使命だから」
「それでは、私っ……」
「よし! それじゃ、決まりだ。いいな、キャスター」
「え……、ええ。ええ!」
「キャスター?」
「……嬉しくて。貴方達と時代を越えた世界で出会えたことが……」
「……シロウっ!」
「わ!?」
「なぜ、聞かないのです?」
「へ?」
「なぜ、私にだけ”セイバー、どうする?”と聞かないのですか?」
「え? いや、なんとなく、ずっと一緒に行動するのが普通かなーって……」
「私は貴方の彼女ですかっ!?」
「なんでそーなるんだよ、いきなりっ!?」
「ユスティーツァさん。これが貴女の言う”正義を守る”ことだというなら、認めるわけにはいかない! どんなことになろうと、俺は戦う!」
「シロウ! よかった、無事だったのですね」
「ああ、今のところはな」
「え?」
「これから死刑なんだとさ。俺が死ぬはずの、元の時代へ護送の途中なんだ」
「歴史を変えるのです、シロウ。貴方さえ……、貴方さえ生き延びれば、全てが変わります。運命のすべてはシロウの”死”の先に存在するのですから」
俺が手を離せば、アンリ・マユは消えてなくなる。
俺がサーヴァントになることも、死にかけるような冒険ともおさらばだ!
セイバーやみんなと会うこともなく……。
この手を離しさえすれば……。
「いいか、諦めるな。絶対助かるから! 桜は生き延びて立派な人になる。俺はそれを知っているんだ」
「先輩?」
「……ごめん、セイバー。未来変えられなかった」
──っ!
「きゃあああ! 先輩っ!」
「アンリ・マユ、お前の勝ちだ。だけど、俺は後悔していない。これは俺が選んだ結末だから」
「先輩──っ!」
「聖杯を手に入れるため、わしに力を貸せ、イリヤスフィール」
「マトウ・ゾウケン? 貴方はまさか……」
「そう。アンリ・マユはわしが造った」
「あ? ああっ……!」
「そんな? こんなバカなことありえません! 貴方は死んだはずです」
「ムチャばかりしやがって! もっと自分を大切にしろよ! でないと死んじまうんだぞ!」
「シロウっ!?」
「全てを支配できないなんて! だとしたらわたしは……なんだというんですか! 人を捨てこんな……こんな、身体にまでなって! わたしが奪われたものの代わりなんだもの!」
――タリナイ! 全テデナクテハタリヌ! ”全テ”ヲ。
「あああぁぁぁ――っ!」
「しっかり自分を保つんだ。欲望だけの怪物になんてなるんじゃない、桜!」
「先……輩……」
「耳をかすでない。誰がなんと言おうと、おぬしは無敵なのだ。全てを支配するがよい。それが、わしらの望んだ”未来”」
――っ!
「桜、貴様っ!?」
「お爺さまがわたしをこんなに風にしたんです」
「ぬうう」
――タリナイ! モット!
「冗談ではないぞ。このままでは大惨事どころか……。もう、誰も増殖を止められぬ」
「止めるのです! その前に、なんとしても!」
「だが? これでは近づけない。止まるものなら……、止めてくれ! 誰かっ! たとえわずかな隙でも!」
――喰イタイ! スベテ!
「違う! こんなことは……わたしの望んでいたのは……、もっと、普通に……普通に生きられればよかったのに! 止めてっ! 誰か!」
――っ!?
「……ふん。この娘も失敗だったようじゃな……、次こそは……」
「シロウ! 今です!」
「うおおおーっ!」
『グランサー編』
〜キャスト〜
空我太揮 (衛宮士郎)
アナ (セイバー)
グリーナム(アーチャー)
「準備を整えて乗り込むぞ!」
「シロウ……」
「そして決着をつけよう! たとえ──」
「シロウ……」
「アーチャーが何者であろうと……」
「……アーチャーは貴方です、シロウ。あれは貴方の未来の姿なのです」
──いずれ、お前も正義の味方の先にあるものにたどり着く……、今のままの道を進むのなら。
「まあ、俺もうすうすとは……な」
「自分自身と戦うつもりですか?」
「自分なら、なおのことだ! 止めてやらないとな」
「答えろ、アーチャー! 何故おれはおまえになった。何故、正義の味方を捨てた? いったい何があった?」
「うぬぼれるな! お前が私になったわけではない! 貴様こそが私の偽物にすぎん!」
「ちくしょう! いろんなものが次々と出てくる。どこでそんな手品を覚えてきた!? 俺っ!」
――死ぬな、セイバー!
「これは……? 死んだ? 私が?」
「そうかっ! これは俺じゃない。奴の……アーチャーの記憶なのか?」
戦って──。
戦って──。
いくつもの平和を取り戻しても、犯罪はなくならない──。
最も愛する者を失ってまで戦ってきたというのに……。
「間違っていたんだ! もう……、悪党どもの尻ぬぐいはゴメンだっ! 何も変わりはしないじゃないかっ! 創るんだ……世界を。平和で、豊かで、誰もが幸せに暮らせる……。誰もやらないのなら……、俺がこの手で創るんだ……。見ていてくれ……」
「俺たちの前に現れたのは……、セイバーが生き残る未来を創るためじゃなかったのか?」
「違うな……。生きていても、それは私のセイバーではない。起きてしまったことは取り返せない!」
「やっと、わかったよ。あんたは止めてほしかったんだ! 止められなくなってしまった自分の暴走を誰かに止めてほしかったんだよ!」
「それも違う! 自分の正しさを証明するためだ。どのようなルートを辿ろうと、エミヤシロウは私と同じ結論を出すのだということを確かめるために!」
「どうやら、違ったらしい」
「そのようだな……」
「お前なんか、もう、俺じゃない! たとえ、始めがどうであろうと、俺はもうお前とは別の存在だ」
「いいだろう。どうやら私たちは、どちらか一方しか生き残ることができないようだ」
「そのことを……、今証明してやる! 貴様に勝ってだ!」