85回 20101月の『人民日報』(2010418日)

 

118日】

●武漢市で2009年の行政事業単位の支出を6950元削減

武漢市人民代表大会で、2009年決算、2010年予算案に関する報告があり、2009年に行政機関と事業単位の支出が削減したことが判明した。これは、海外渡航経費が対前年比で40%減、借り上げ車両費、公務接待費、光熱費も当初削減目標を達成したことによるもの。

2009年予算案で公用経費の削減を掲げ、過去3年の支出平均に比べ、海外渡航経費で20%減、借り上げ車両費で15%減、公務接待費で10%減、光熱費で5%減を達成した。

 

批判の大きい公用経費支出を削減した成果が発表された。海外渡航経費については2008年に大きな批判が展開されたことから、武漢市に限らず各地方で大きく削減されたはずだ。削減の成果は分かるが、削減データを2種類も出すことに意味があるのか。特に後者の3年平均との比較はよく分からない。とにかく削減の成果を強調したかったのだろう。

 

119日】

●「公聴会はいかに公信を勝ち取るか」という問題提起と現状

水道料金に関する公聴会が問題になっている。

(事例12009128日の黒龍江省ハルピン市:不満を持つ消費者代表が水の入ったビンを投げつけた。またその他の代表の資格の信憑性に疑問。

(事例2)同年1218日の山東省済南市:下崗労働者や特別貧困者、退職者などが代表に選ばれず、代表性に疑問。また代表が居眠りをしていた。

(事例31231日の福建省福州市:代表選考の手続きが合法的ではない。

同記事の編集者は、公聴会が、(1)価格引き上げ会になっていないか、(2)不透明ではないか、という2つの問題を提起した。記者の見解は、(1)に対して、これまでの公共料金が安すぎた。(2)に対し、利益追求が多元化し、そのコストが消費者に転嫁されているのではないか。

また編集者は、政策決定に対する公聴会の影響力には限界があるのではないかと問題提起した。記者の回答は、価格の決定過程の公開性、透明化の向上、公聴会の意義は価格決定ではなく、消費者、経営者、関係方面も意見を聞くこととした。公聴会を優れた「道具」ではないとも言い切った。

また消費者は代表されているかとの編集の問いに対する記者の見解は、公聴会に参加している消費者は消費者の代表ではなく、自らの考え方を表出する人。消費者は公聴会に積極的に参加すると同時に、ネット上で意見徴収を行うとした。

最後に国家発展改革委員会が現在の公聴会制度には問題も多いと述べた。

 

政治参加の象徴的なチャネルとしての公聴会。しかし、実態はなかなか進んでない、問題が山積しているようだ。しかも、記事自体が、海渡になっていない。3つの事例が問題視しているのは代表の選び方であるが、記者の回答はそれに答えていない。何の記事だか、もう1つよく分からないなあ。

 

128日】

●国家能源(エネルギー)委員会正式成立

国務院の議事協調機関としての国家能源委員会が正式に成立した。20083月の全人代で成立は決定していたものである。その職責は主に3つある。

1)国家エネルギー発展戦略の研究、策定

2エネルギー安全とエネルギー発展での重大問題の審議

3国内のエネルギー開発とエネルギー国際協力の重大事項を統一し協調する
構成メンバーは以下のとおりである。

(主任)温家宝(総理)

(副主任)李克強(副総理)

(委員)尤権(国務院副秘書長)、朱之(中央財経領導小組辧公室主任)、楊潔■(外交部長)、張平(国家発展改革委員会主任)、万鋼(科学技術部長)、李毅中(工業和信息化部長)、耿恵昌(国家安全部長)、謝旭人(財政部長)、徐紹史(国土資源部長)、周生賢(環境保護部長)、李盛霖(交通運輸部長)、陳雷(水利部長)、陳徳銘(商務部長)、周小川中国人民銀行長)、李栄融(国務院国有資産監督管理委員会主任)、肖捷(国家税務総局長)、駱琳(国家安全監督管理局長)、劉明康(中国銀行業監督管理委員会主席)、王旭東(中国電力網監督管理委員会)、章沁生(中国人民解放軍総参謀部副総参謀長)、張国宝(発改委副主任兼国家能源局長)

辧公室は国家能源局に設置され、その辧公室主任は発改委主任、同副主任は国家能源局長が兼務する

 

委員は21名で、その顔ぶれを見ると、国務院の閣僚のほとんどといった感じだ。一昨年の全人代で設置は決まっていたのに、約2年経ってようやく設置の通達が出るということは、エネルギーをめぐる中央官庁間の利害関係が複雑で、調整がなかなかつかなかったことを物語っている。

国務院の議事協調機構ということで、こうした中央官庁間の利害調整が期待されるのだろうが、それはなかなか難しいだろう。その機能の実施状況に注視したい。