第7回 第16回党大会目前―注目点はココだ(2002年11月6日)

 

 昨日11月5日、3日から開催されていた中国共産党第15期6中全会のコミュニケが発表された。それによれば、第16回党大会での報告案と党規約改正案が審議され、採択された。いよいよ党大会が迫ってきた。

 『東亜』10月号(霞山会)に「第16回党大会の人事、政治路線、そして党大会後の政治」という拙稿が掲載されているので詳細はそちらを見ていただきたいが、党大会を直前に控え、何に注目したらいいのかを整理しておきたい。

 

1.人事

(1)  江沢民はどうなるのか

−総書記は辞めるのか

−中央軍事委員会主席は辞めるのか(これも辞めれば事実上完全引退)

(2)  後継No.1と言われている胡錦濤はどうなるのか

−総書記になるのか

−中央軍事委員会主席になるのか

(3)  江沢民の側近中の側近と言われている曾慶紅はどうなるのか

−政治局常務委員になるのか、なるのなら序列は何番か(江沢民の力を図ることができる)

−中央委員に第何位で当選するか(江沢民の威光を受けすぎて、評判が悪いので)

(4)  68歳の李瑞環はどうなるのか

−政治局常務委員に再選されるか(68歳は引退年齢70歳に達しない。李瑞環は江沢民、胡錦濤にとって味方か、敵か)

(5)  中央委員、中央候補委員に私営企業家は選ばれるか

−象徴的な意味にしかすぎないが、私営企業家の扱いをどうするのかを知るためのメルクマールになる

 

2.「三つの代表」思想はどう扱われるか

(1)  党規約に「三つの代表」思想という文言は入るか

−「江沢民の」という冠が付くか

(2)  報告に私営企業家の入党について明確な言及があるか(「三つの代表」思想に対する反対派の影響力を図ることができる)

 

3.第16回党大会の持つ意味

 党大会は、具体的な政策が決定する会議ではない。5年に1回のお祭りみたいなものだ。しかし、単なるお祭りでない。今回の大会で江沢民が総書記を降りることはほぼ確定的だ。そのため第16回党大会はポスト江沢民体制が成立する。そのことは分かり切ったことで、さほど重要なことではない。焦点は、新体制後も江沢民が影響力を保持することができるのか、それとも完全引退か、という点につきる。それを見るためには、上で述べた、人事と、党規約と報告の中での「三つの代表」思想の扱われ方に注目しなければならない。ポイントはさほど多くない。