第52回 2005年5月の『人民日報』(2005年6月30日)
20050509
(1)安徽省人民代表大会が信訪工作の量的目標を設定
⇒信訪(合法的異議申し立て)によって持ち込まれる問題をきちんと解決しようと量的目標を設定。5月1日から改正された「信訪条例」が施行されたので、各地方で対応策を発表したり、関連地方法規の整備を行っています。
データとして、2004年に安徽省人代が受け付けた信訪9600件のうち、手紙によるものが約5100件、直接来訪したものが約4600件、全体のうち5人以上の集団による信訪は1449件。
(2)広東省での給料未払いに行政が関与
⇒2004年の広東省での未払い総額は11.13億元。2004年の広東省での30人以上による上訪(上級機関への信訪)のうち66.1%が給料未払いに関するもの。そのために、広東省では行政が前面に出て給料未払いに関する問題を解決しようということ。
(1)も(2)もその施策はあまり期待できないが、データが有用。
20050511
(1)公務員法の全文を掲載
⇒先日全人代常務委員会で採択された公務員法の全文です。公務員と言いながら党機関の人員も含まれているなど、問題の多い法律です。落ち着いたら改めて分析したいと思います。
(2)国家発展改革委員会が炭鉱の安全生産のために国債5020万元拠出を決定したことが判明
⇒地方政府が1264万元、企業自身が10444万元を拠出
これで炭鉱事故が減ればいいのですが・・・
20050512
国務院辧公庁が「建設部など7部門の連名による住居価格工作をうまく安定させることに関する意見に関する通知」を伝達
⇒4月30日に提出された建設部、発改委、財政部、国土資源部、人行、税務総局、銀監会の連名の意見
不動産への過剰投資、急速な価格上昇が深刻な問題で、中央が今後この問題に対処していくことを示す重要な通知
やっぱり不動産はヤバイ
20050517
温家宝、米国商会代表団と会見、人民元改革に言及
⇒人民元改革について、次の3点に言及しました
@人民元レート制度改革をしっかりと絶えることなく推進する
A中国の実際から出発する
B中国の主権であり、外からの圧力、いかなる圧力にも屈することなく、経済問題を政治化することは何の問題の解決にもならない
この問題については、米国から余計なことを言われたくないということです。
20050518
(1)浙江省武義県の555の行政村に村務監督委員会を設置
⇒2004年に中央弁公庁と国務院辧公庁が連名で出した「村務公開と民主管理の制度を健全化し、完備することに関する意見」に対応した措置で、2004年6月から試行していた。
党支部、村民委員会(両委)に続く第3の委員会と位置づけ、新たな村民自治監督システムとして機能させる。村民委員会と同列の組織で村の事務の決定、監督に参加する
人事が独立しており、3〜5名からなるメンバーは村民代表大会の選挙で決定する。両委のメンバーの近親者はダメなどの規則あり、中立を守る
評価する解説記事も同時掲載
また新しい組織を作って、うまく機能するかなあ、しないだろうなあ
(2)周永康公安部長兼国務委員、全国公安機関が集中的に民衆の信訪問題を処理することに関するテレビ電話会議で挨拶
⇒信訪条例施行で公安機関に対する信訪への対応。各部署でこんなことをやっている模様
20050519
胡錦濤、PLO議長と会談
20050520
(1)国務院東北地区等老工業基地振興指導グループ第2回会議開催、温家宝首相が重要講話
⇒昨年の活動報告と今年の活動重点7項目を提示
この会議は17日開催でしたが、16日には国務院西部地区開発領導小組第3回全体会議が開かれており、地域開発の重要会議を続けて開催したということ
これは、時期的に前年を総括し、今年の方針を打ち出すタイミングで行われたものですが、今年は秋にかけて第11次5ヵ年規劃の策定の時期に当たっており、規劃でどこに重点を置くかは重要で、これら会議の成果は重要です。
(2)周永康公安部長兼国務委員がカザフスタンを訪問し、大統領と会見
⇒テロとかの取り締まりの責任者である周永康ですから大統領との会見も、反テロが主要議題でしょう
20050528
(1)全国民族工作会議・国務院第4回全国民族団結進歩表彰式開催、胡錦濤が重要講話
⇒5月11日の国務院常務会議で「民族区域自治法実施の若干の規定」(草案)が審議され、原則採択されましたので、関係者にその説明をするための会議かと思います。
私がチェックしている範囲では、2003年以降民族工作会議は開かれていませんから、胡錦濤の重要講話は少数民族工作に関する彼の考えを反映したものと言えます。会議に関連した社論も胡錦濤の重要講話を「新世紀新段階の民族工作を指導する綱領性文件」と位置づけられます。
重要講話で提起された当面の任務は次の4点
@少数民族と民訴地区の経済社会発展を加速させる
A民族地区の人材資源開発と少数民族幹部隊伍建設を強化
B民族団結を強化し、祖国統一を維持する
C民族地区の自治制度を堅持し、完備する
(2)駐米中国大使がブッシュ大統領に「国書」を渡す
⇒辞書によると、「国書」というのは中国語で「大使や公使の信任状」ということらしいのですが、胡錦濤からの「親書」とはちがうみたいです。でも胡錦濤のメッセージと考えていいのでしょうね。
国書の内容は、胡錦濤のあいさつと米中関係の重要性、今年後半の訪米についてということですが、訪米よろしくというメッセージかと思います。繊維問題や6カ国協議などで米中が協議しなければならないことがたくさんありますから大事な訪米になるでしょう。25日付けの『産経新聞』に民間シンクタンクの中国専門家5名の人民元切り上げ予測が掲載されており、私の友人もいて興味深く拝読しました。経済素人の私の予測は、もし切り上げがあるのならば胡錦濤訪米の前後で、ブッシュ大統領への「おみやげ」になるのかと思います。
20050529
(1)5月26日から27日まで「海洋と国家安全の経略」研討会開催
⇒中国太平洋地区合作委員会、中国政策科学研究会、国家安全政策委員会が共同主催。
3つともどんな組織かを私は知りません。テーマは今話題の海洋開発の問題です。
(2)最近胡錦濤、呉邦国、温家宝、曾慶紅等が扶貧開発工作で指示を出したことが判明
⇒5月27日と28日に開かれた中国扶貧開発協会第3回会員代表大会にちなんで報道されたものです。評論員文章も掲載され、この指示がかなり重要であることが伺われます。しかし、会議に彼らが出たわけではありません。ちなみに協会は民間組織です。
胡錦濤は調和社会構築にとって貧困扶助開発は重要と位置づけます。そして、この協会が貧困扶助工作の重要な力量であると言います。
(3)温家宝、全国民族工作会議閉幕式で講話
⇒温家宝は「歴史、自然など多方面の原因により、一部の民族地区の経済社会発展は依然遅れており、民族間、地区間の発展には大きな格差が存在する。このような状況がもし長期にわたり改変しないならば、各民族の平等は実現できない」として少数民族地域の経済発展の遅れに懸念を表明しています。
そして経済発展策として次の5点を挙げます。
@インフラ建設の強化
A農牧業など優位性のある産業の発展、資源開発項目の民族地区への傾斜
B対外開放の拡大
C生態環境保護システムの構築
D特困民族地区の指示の強化
20050530
(1)「物価に注目」シリーズの連載開始
(2)第11次5ヵ年規劃の6大重点
⇒来年3月に確定される第11次5ヵ年規劃の重点項目
@経済成長方式の転換の推進
A産業構造の調整、優化
B三農問題の解決
C都市化健全発展の推進
D区域協調発展の促進
E調和社会建設の強化
いよいよ次期5ヵ年規劃の策定が本格化します。まずは重点項目が明らかになりました。
20050531
薄煕来商務部長が繊維製品貿易問題について記者会見
⇒米国とEUとの間でもめていますので、中国側の立場を商務部長自ら明らかにした模様。薄煕来もこの問題をうまく処理すれば、さらなる出世が期待できるので、しっかりアピールです。