第50回 2005年4月の『人民日報』(2005年5月24日)

 

 今ごろになって4月の、ですが、まとめておきましょう。なお、反日デモ関連のものは別途まとめます。

 

20050408

(1)人民解放軍総政治部が『「三つの代表」重要思想基層読本』『江沢民国防軍隊建設思想学習通俗読本』を真剣に学習するよう通知を出す

この2冊の教材の学習を、胡錦濤の一連の重要講話や指示の精神の学習と結びつけるよう指示が出されています。

 まだ胡錦濤の体系的な軍事理論がない現在は、江沢民の軍事理論に頼っていくしかないのです。

 

(2)温家宝がアジア協力会議第4回外相会議でおこなった演説を公開

「一部で中国が発展し、強大になることが脅威をもたらすと心配されているが、そのような心配は全く必要ない」と脅威論を否定。

 外相会議なのに温家宝首相が参加しているあたり、アジア諸国との関係強化だけでなく、ついでに開催国のパキスタンや隣のインドとの関係強化が狙いのようだ。

 

20040412

(1)温家宝総理が訪問先のインドでインド首相と会談、「中印国境問題を解決する政治指導原則に関する協定」に調印

温家宝がインドを訪問しています。最近の中国国内の反日感情の高まりを念頭において温家宝のインドでの発言を見ていると、ちょっと調子に乗りすぎてるのではないかと思うわけです。

 前日、コングレス党のガンジー党首と会見した際も「中印の発展なくしてアジアの世紀はない」と発言しており、明らかに日本を意識して、アジアは中国とインドと言わんばかりです。

 

20050416

(1) 戴秉国外交部副部長が1415日にロシアを訪問

ロシアとの関係、中央アジア情勢、SCO、北朝鮮核問題、国連改革などが議題。

 これくらい日本のことも気にかけて外交をしてくれたら、日中関係はもっと良くなると思うのですが。

 

20050419

(1)温家宝首相がオーストラリア首相と会談。オーストラリアが中国の市場経済国の地位を承認することと、両国がFTA交渉をスタートすることに関する覚書に調印

あらあらオーストラリアが中国の市場経済国の地位を承認してしまいました。市場経済をきちんと理解して実行している西側諸国では初めてではないかと思います。何か中国に後ろめたいことでもあるのかなあ。これからこうしたケースは増えていくかもしれません。いいのかなあ、こんなことで。

 

20050422

(1)「信訪」の特集を掲載

「信訪」は、党や政府に対し、一般の人々が手紙を書いたり実際に窓口に行って苦情を申し立てることができる制度です。人々が意見表出を行うことができる数少ない合法的な手段です。

 今回の特集は5月1日から施行される「信訪条例」にちなんだものです。

 

20050425

(1)「信訪条例」貫徹問答連載開始

今日も5月1日施行の「信訪条例」関連記事を掲載しています。

 

20050426

(1)党中央辧公庁、国務院辧公庁の「政務公開をさらに進めることに関する意見」を公表

政治改革の一環。ずいぶん前から行っていますが、たぶんダメだからこんな意見を出さなければならないのでしょう。これも「具体的な行動を見てみよう」です。

 

20050428

(1)国務院常務会議、不動産市場の情勢を研究分析

不動産市場の状況が相当ヤバイらしいです。特に次の4点のようです。

@    不動産投資が過剰

A    商品物件価格の上昇が速すぎる

B    商品物件構造が不合理

C    不動産市場の秩序が乱れている

24日と25日に上海で、全国一部都市の不動産情勢座談会が開かれ、曾培炎副首相が出席しています。この会議が上海で開かれてことがミソで、上海のトップ陳良宇党委書記も出席しており、上海が特にひどい状況なのではないかと推測されます。そして不動産投資の抑制と商品物件価格上昇を抑えるよう党中央からカツを入れられたのではないかと思います。