第5回 党大会はいつ開かれるのか?(2002年8月13日)

 

●飛び交うウワサ

今、中国に関係する人たちの間での大きな関心事は第16回党大会がいつ開かれるのかという点である。先月あたりから新聞やテレビでは、10月下旬の江沢民のアメリカ訪問から帰国後の11月開催説、11月延期説が取りざたされている。延期説が出るということは、それ以前に開催日が発表されていたのか、といえば、そんなことはない。これまでのところ、当局から正式な開催日が発表されたことはない。

こうした説が出てくるのは、前回の第15回党大会が9月に行われたためで、今回の第16回党大会も9月に行われるだろうという思いこみに他ならない。過去を溯れば、第15回党大会は確かに9月12日から18日まで開かれたが、第14回は1012日から18日、第13回は1025日から11月1日と、開催月はまちまちなのである。

また、第15回党大会の開催日が発表になったのは、8月27日の中央政治局全体会議終了後である。開催の2週間前の発表なのだから、仮に第16回党大会が9月に開催されるとしても、まだ開催日の公式発表がないことに何の不思議もない。そのため、開催日がまだ発表されないことを人事や路線をめぐる党内闘争と結びつけることは軽率といわざるを得ない。

 

●総書記の肩書きによる訪米

仮に第16回党大会が9月に開催されないとして、そのことは党内闘争と関係があるのだろうか。まず、江沢民の訪米後の開催というのは、1つの事実を明確にしているように思われる。つまり、11月開催は、江沢民を総書記の肩書きを持たせたままで、訪米させようという意図からである。そのことは、江沢民が党大会で総書記を辞任することを表している。もし辞任しないのならば、訪米前に開催すればいいわけだから。

江沢民は総書記の肩書きがなくても国家主席のままで訪米するわけだから国賓扱いであるし、またブッシュ大統領はテキサス州にある自分が保有する牧場に江沢民を招待すると早々と言及し、丁重に迎える姿勢を示している。しかし、江沢民が実際の最高権力である総書記の肩書きを持って訪米することの方がその持つ意味は大きい。レームダック化を悟られたくないのは、アメリカに対してでだけではなく、むしろ国内向けだろう。アメリカでレームダック扱いされることは、人民にとっての最高実力者江沢民のイメージダウンになり、第16回党大会以降の影響力行使に対しても支障を来す。

こう考えると、開催時期と人事との関係は単純である。開催日が訪米前なら総書記続投、訪米後ならば総書記辞職である。開催日が発表されないというだけで、人事はもう決着がついているのではないか、開催日が江沢民の訪米後という線が強そうなのは、総書記辞任で決着がついている表れであると推測する。ちなみに、中央軍事委員会主席を辞任するかどうかという問題は別のロジックで考えなければならない。

 

●政治路線の要因はない

政治路線上の党内闘争については、すでに述べたとおり(本連載第3回)、昨年7月1日の江沢民演説で、政治路線は確定したわけだから、今それをめぐって党内闘争が繰り広げられているとは考えられない。

16回党大会の開催は間違いないのだから、当局の公式発表を待とうではないか。