2006年5月29日(月) |
ポスト胡錦濤候補が軒並み登場 |
理論面に「社会主義栄辱観樹立」に関する省レベルの党委員会書記4名の論文が掲載された。最近このような特集はないので恐らく今回が最初だろう。また今後特集が連載されるかどうかは分からない。
注目すべきは登場した書記4名のうち徐光春を除く3名が来年秋に開催予定の第17回党大会で昇格が予想される、またポスト胡錦濤の候補者とも言える有力政治家であることだ。この3人が一度に登場したことが偶然か、意図的かは分からないが、とにかくこれだけの人物がそろったので、順に取り上げてみたい。焦点はもちろん、胡錦濤に対する態度表明の内容だ。
(1)習近平(浙江省党委書記)「社会主義精神文明建設の重要指導方針を推進しよう」
−「胡錦濤同志の社会主義栄辱観樹立に関する重要論述は、わが党の社会主義思想道徳建設思想に関する継承と発展であり、社会主義精神文明建設のさらなる推進の重要な指導方針である」
−「胡錦濤同志の『八栄八恥』に関する論述は、マルクス主義世界観、人生観、価値観の生き生きとした(「生動」)体現であり、わが国の優秀な伝統文化と中華民族の伝統美徳の生き生きとした体現であり、愛国主義、集団主義、社会主義思想の基本的要求の生き生きとした体現である」
(2)張慶黎(チベット自治区党委書記)「社会主義栄辱観を実施と結合し樹立しよう」
−「胡錦濤同志の社会主義栄辱観樹立に関する重要論述は、社会主義栄辱観の深い内包が愛国主義、集団主義、社会主義思想を含んでいることを科学的に解明し、中華民族の伝統美徳と時代の要求を体現し、マルクス主義の世界観、人生観、価値観を反映し、現代中国の最も基本的な価値方向と行為基準を明確にするマルクス主義道徳観に対する深い概括であり、社会主義道徳に対する系統的な総括であり、人を基本とし、全面的協調的持続可能な発展の科学発展観の重要構成部分であり、新しい情勢下で社会主義思想道徳建設強化の重要指導方針である」
(3)張宝順(山西省党委書記)「社会主義栄辱観の樹立を思想道徳建設の全過程に貫こう」
−「胡錦濤同志が提出した『八栄八辱』を主要内容とする社会主義栄辱観はマルクス主義道徳の深い概括である」
(4)徐光春(河南省党委書記)「社会主義栄辱観の樹立には重点を明確にし、実践を強化しなければならない」
−「全省の都市と農村で社会主義栄辱観樹立を主題とする教育活動を広範に展開し、全省の幹部と民衆を組織し胡錦濤同志の社会主義栄辱観樹立に関する重要論述を真剣に学習し、その深い内包と基本要求を把握し、人々が社会主義の基本的な道徳規範を自覚を持って守るよう導き、人々が真善美を追求し、偽悪醜を抑えるよう奨励する」
内容は4人とも大体同じで、上記の習近平、張慶黎の発言に網羅されている(徐光春と張宝順の分量が少ないのは内容が似ているので私が訳すのが面倒になっただけだ。他意はない)。概ね、胡錦濤支持の論調だが、私には胡錦濤崇拝と思えるような持ち上げように異常さを感じる。
最近、来年秋の第17回党大会での人事を考える上での胡錦濤政権を支えるグループについて分析をしてきたのだが(後日紹介したい)、そこで習近平は高級幹部子弟である「太子党」グループのうちの有力者であるし、張慶黎と張宝順は「胡錦濤側近」グループの有力者である。
あと1年あまりに迫った第17回党大会に向けて、すでに人事は動き始めた。中央政治局入りを目指して、「胡錦濤の側近」グループ、「太子党」グループの動きには目が離せない。しかし、それを明示的に知ることは難しい。こうした論文の掲載に何かのヒントを得なければならないかもしれない。
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