杓子岳尾根

 

 

<高山 記>


 実を言うと、白馬岳主稜を登るはずだった。猿倉を過ぎて大きな雪渓が出てきたので大雪渓と思い込んでしまったが、実は、一本手前の「長走沢」だった。そして取り付いた尾根は一本南の「杓子岳尾根」となってしまった。しかしこのことに気がついたのは二日目の2300m地点を越えたときで、それまではこのまま白馬岳山頂に向かっているものと思い続けて登っていた。ルートの確認ミスという基本的な誤りを犯してしまった。でも、内容はほとんど同じでけっこう充実していたから、まあいいか。以下に詳細を述べます。
 3月31日の9:30分に尾根に取り付き、ほとんど矢田さんのラッセルでどんどん登っていく。途中で熊の足跡を見つける。熊のトレースを追って1500mまで登る。午後1時を過ぎると急に気温が下がり、風が強くなる。春山とは呼べず、1月の八ヶ岳並みの寒さ。予定通りに雪洞を掘り始める。掘ってみるとすぐに木の枝が出てしまい、雪のブロックを積み壁をつくり、入り口にツェルトを張って完成。スコップ2本、のこぎり1本でかかった時間は1時間30分。かなり疲れる。もし、ルート上で行き詰ってビバークをしようとしても雪洞を掘るのは難しいと思う。雪洞を掘る元気があったら高度を下げ、木の周りのくぼみに入り込んだほうがいいと思う。それでも完成した雪洞は快適、静かで暖かい。この日は寒風が強く、テントを張るのは難しい状況。雪洞は正解だったと思う。
 4月1日は快晴。朝は冷え込みが強く、斜面は凍って登りやすい。2300m地点で白馬岳の全貌が見え、自分たちの位置が杓子岳尾根上にあることに気がついた。間違えはしたが小蓮華山、白馬岳、唐松岳、鹿島槍ヶ岳などの展望がよかったので今回はこれでいいことにしよう。しかし、杓子岳尾根上に竹ざおが3本さしてあった。あれを刺したパーティーは始めから杓子岳に登るつもりだったのだろうか。もしかしたらわれわれと同じように間違えたのかもしれない。下りの林道は雪が腐って歩きにくい。かなりハードな山行であった。今度は荷を軽くしてパッと登りたい。

後立山連峰、杓子岳
3/31〜4/1
メンバー;L高山、矢田
コースタイム
3/31 6:30 二股
  8:30 猿倉 
  9:30 杓子岳の尾根に取り付く
  13:00 1700m地点で雪洞を掘る
4/1  6:00 雪洞を出発
  13:00 2750m地点、杓子岳山頂直下
  15:30 猿倉
  16:50 二股

尾根途中の矢田 

尾根途中の高山 

白馬岳 

登ってきた杓子岳の尾根 

雪洞の中の矢田 

雪洞の外からみる 

杓子岳山頂付近 

杓子岳山頂直下の高山

 

 

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