谷川岳/滝沢第3スラブ

 

 

 

3スラ…。それは僕にとっての1つの目標のルートだった。し
かしその挑戦はいつも天気、雪崩などに阻まれしまい月日だけ
が過ぎてしまって、もはやそのルートは僕にとって亡霊のような
存在になってしまった。だから早いとこ退治しないと一生とりつ
かれてしまうことになってしまう。そして今回、今年に入って3回
目の挑戦となったのだった。が…、しかしその挑戦は出だしか
ら思わぬ危機が迫っていた。14日(金)の夜に東京を出発して
関越道を順調に高崎付近を移動中の車内でパートナーから思
わぬ言葉を耳にする。「もしかして、ハーネス忘れちゃったかも
しれない…。」 ○×△□!!急遽近くのパーキングに止まり荷
物をチェックする。が、やはり無い。相棒は簡易ハーネスで登る
と言うがそれもパートナーとしてちょっと怖かったのでここは気
合いを入れておにゅーのハーネスを買ってもらうことにした。
というわけで予定より1日遅れの15日(土)の昼過ぎに谷川岳
の麓の指導センターに到着する。かなり中途半端な時間でする
こともなくひたすら眠る。
 16日(日)2:00起床さすがにあれだけ眠ると寝起きも良い。
素早く身支度をして3:00頃指導センターを出発する出合いま
での林道は前日入ったクライマーのお蔭でトレースがバッチリ
付いてる。4:00頃出合いに到着。アイゼンを付け、一ノ倉沢を
上って行く。4:40頃下部のデルタ部分に着く。薄暗いが問題
の無い雪壁だろう判断してお互いロープを着けずに登る、が思
ってた以上に悪く雪壁はすぐに終わってしまい、その後は脆い
ベルグラが現れる。恐怖からアックスを力強く打つが薄い氷の
下に眠っている岩にはじき返される。『落ちたら死ぬ。』と自分
に言い聞かせ焦らず慎重に登るとやっと下部デルタ部分を抜
け150mぐらいの雪壁部分に着く。落ち着いてピックの先を見
るとだいぶ潰れてしまっている「こりゃ、新しいのに換えないと駄
目だなぁ」。暫く雪壁を登って行くと核心のF4の下に着く。スクリ
ュー2本でしっかりとしたアンカーを造り、ここで始めて持ってき
たロープを使う、小河原氏に確保され氷壁を5mぐらい登ると左
側の岩に腐りかけてるリングボルトやハーケンがある、おまじな
い程度にランニングを取って行き乏しい支点の中2ピッチ程でF
4を抜ける。その後は優しい氷・雪壁が暫く続くと今度は草付が
出てくる。さらに支点も乏しい中コンテで登って行と8:00過ぎに
ようやくドーム壁基部に抜ける。少しはほっと出来る場所だ。し
かしこの先のAルンゼでも雪崩で死んだ人もいる。「そうのんび
りは出来ない。」自分にそう言い聞かせ懸垂し、登りかえす。
最後の雪壁を登り9:20快晴、無風の中と稜線に抜ける!!
「うぉぉー!!」感情のままに叫んでしまう。
共に登ってきたパートナーとしばし喜び称えあうのだった。

メンバー/小川 弘資、小河原 努
期間/2003.3.16
時間/指導センター(3:00)〜一ノ倉沢出合い(4:00)〜
     下部デルタ部分(4:40)〜ドーム基部(8:20)〜
     稜線(9:20)〜西黒尾根下山〜
     指導センター(11:00)




下部デルタ部分を抜け、ほっとする小河原氏

 

ドーム基部手前の雪壁

 

稜線手前の最後の雪壁

「うぉぉー!!」と叫ぶ小川

その横の小河原氏

最高の瞬間の2人

すこぶる快晴

谷川岳・肩の小屋

本日の締めは水上名物(?)焼きカレー

 

 

 

 

 

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屋久島『ミルキーウェイ』

 

 


そもそもこの計画が持ち上がったのは確か10月中旬の九州ツアーの前だったと思う。
屋久島という件名で「20ピッチのロングルートがあるらしい登ろうぜ」というよっちゃんという友達から来たメールだったと思う。
これから九州に行くのに何てことをいう奴だぐらいしか考えていなかったにまたしても流されてしまい気が付いたら飛行機は離陸していました(事実)。
よっちゃんたちは屋久島で行われるアドベンチャーレースに参加するらしい。僕は同じ飛行機が取れなかったのでちょうどそのレースが終わるくらいに合流することにした。1人鹿児島の夜を芋焼酎で楽しみ、翌16日トッピーにて屋久島に上陸する。予約しておいたレンタカーを手に入れアドベンチャーレースの会場に向かうと既に彼らはゴールした後でおまけにぶっちぎりで優勝もしていたみたいだ。
その夜はモッチョム岳の麓にある駐車場に泊まる。まず驚いたのはその星の数だった。いつも山から見ていたのでこんなもんと思っていたが屋久島は違っていた。僕の下手な文章では表現できないのが悔しい。
17日AM4:00起床、5:00前には伝説のルートを目指し出発する。しかし、アプローチも大分悪い、手に入れた資料とは大分違っていて予想以上に時間が掛かり、結局取り付きに付いたのはもう明るくなった7:00ぐらいになってしまった。
ミルキーウェイ。銅淵川大滝+右方白ルンゼ+東壁+北東壁を繋げた凄まじく長いルート。標高差こそ450mだがそのルート長はゆうに800mを越える。
基本的にスラブのルート天気が崩れたらお仕舞だ。手短に準備して登りはじめる。
1P:よっちゃん  スラブ直上少し左にトラバース。5.9
2P:ヒロシ     このルートの核心細かいスラブを越え、薄かぶりのフェース。10b
3P:よっちゃん  20mの簡単なスラブなはずが濡れていてかなり悪い。5.7
4P:ヒロシ     ここも濡れていて正規のラインを登れず左を登るがかなり悪くランナウトもかなり激しかった。5.8
5P:よっちゃん  草付っぽい凹角、ここから水が出ていたみたいだ。靴の裏も濡れてしまっているのでA0で越える。5.9
6P:ヒロシ     ここもスラブを登りハングを右から越え直上して草付にはいるのだがやっぱりびちょびちょだった。5.8
7P:よっちゃん  岩の廊下をたどり滝の下まで上がる。5.5
8P:ヒロシ     垂直の枯滝だと思うが、やっぱり水が流れていて極端に悪い。A0。5.9
9P:よっちゃん  ブッシュの凹角。5.5
10P:ヒロシ    30mくらいの簡単なスラブだけどボルトが一本も無くてちょっと不安。5.7
11P:よっちゃん スラブ直上する。5.8
12P:ヒロシ    トラバースして草付の凹角を登る。5.9
13P:よっちゃん 垂直に近いフェース。カチ系ホールドで面白い。5.8
14P:ヒロシ    奮闘的なチムニーと本には書いてあったけど泥溝って感じ。15m垂直のフレアーしたチムニー。プロテクションは取れなかった。5.9
15P:よっちゃん 草付から簡単なスラブを登る。
16P:ヒロシ    細かい結晶を繋いで登るスラブ。ここも面白かった。5.9
17P:よっちゃん そのままスラブ直上してトラバースするのだが、ここが濡れていて結構悪かった。5.9
18P:ヒロシ    さらにトラバースするのだが40mでボルト一個はちょっとびびった。5.7
19P:よっちゃん ホッとできるスラブ。5.6
20P:ヒロシ    さらに続くスラブだがまたしても濡れていて上部がかなり微妙だった。5.8
21P:よっちゃん 易しいスラブ。5.6
22P:ヒロシ    「最後でこれかよ!」ていうフェース。結構立っている凹角を登りその後フェースにつなげて登るがコケコケして悪いくせに20mボルト無し。叫びまくる。5.9
その後30分ほど薮を漕ぎ、モッチョム岳のピークに出る。風はかなり強いが天気は最高!!景色も最高!!!帰りは一般道で下りることができる。しかも途中でモッチョム太郎に会うことが出来る。

感想〜ミルキーウェイを登って〜




その前に九州でスラブを登っていたのでかなり助かった部分がありました。ルート自体は簡単だけどひたすら長いなーって感じで、多分九州だったら1日3本ぐらい登るのと同じ感覚だったと思う。クライミング中は海風が結構強く途中で引き付ける腕が冷えのためかそれとも疲れのせいかつってしまいちょっと焦った時もあった。
このルートは結構ジグザグにトラバースなどをしながら登っていくため懸垂=敗退が考えられずスピーディー&総合的なクライミングが要求されると思います。結局僕らはつるべで8時間で抜けましたがもっと切り詰められる部分があったと思います。
ボルトに関しては良く整備されていて全く問題はありません。が、基本的にランナウトしなさいって感じです。アンカーも途中1箇所だけハーケンで作ったぐらいで他はかなり良い状態で使用可能。

期間2003.11/15〜19(クライミングは17日)
メンバー 小川弘資L、佐藤佳幸

※クライミング中の写真、使い捨てカメラで撮ったのですが非常に画質が悪いですがご了承ください。

今日も荷物満載。

トッピー。海の上を時速80`でぶっ飛ばす。 

ダイナミック!!な三本杉。

屋久杉の森の中。 

2P目の核心のスラブを登るよっちゃん。

10P目の30mの5.7のスラブ。もちろんボルトは無い。 

16P目の細かい結晶のスラブを登るよっちゃん。 

18P目の40mの5.7をトラバースするよっちゃん。ボルト1個。 

頂上からの景色。 

戦い終わった二人。 

素泊まりの宿のコレクション。ピッケル150本くらいあるらしい。 

光のアート。ハートは光で創りました。 

屋久島ラーメン。さばも入ってたりする。結構微妙。 

櫻島は結局見えなかった。 

 

 

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