戸隠 本院ダイレクト

 

1日目
 20(木)の夜東京を出発、途中姨捨パーキングで仮眠してなんだかんだで21(金)朝、8:00上楠川橋を出発。快晴無風の中、歩き始めて10分もすると除雪も終わってしまいわかんを付ける。再び歩き始めて9:30ぐらいには尾根の末端の二股に到着する。徐々に登り始めて11:00に鳥居ハングに到着。ワカンからアイゼンに履き替え再び動き始める。1歩1歩ズボズボと雪に埋まりながらD1の上に出る。D2はスタカットにして上るが上部のキノコ雪の処理が結構大変、雪まみれになりながらクリアーする。ロープをしまいD3はお互いフリーで抜ける。結局その日は14:00にちょっと早めにD4の壁の下で泊まることにする。
2日目
 前日暖かくなり雪が腐ってラッセルが大変だったので、朝4:30起床して6:00前に歩き始める。快調にD4、D5、D6を超えて行く。9:30にD7直下に到着。トップが空身で上がり、セカンドがプルージックで上がる。ザックに藪が引っ掛かりイライラしながら登って行く12:30にはD8を超えた辺りにあるプラートーに着く。テントを張るのはまだ早すぎるので荷物をおいてその先を偵察に行く。D9を2ピッチフィックスしてその日はテントに戻る。夕方前から雪と少し風が出てくる。湿気でじめじめしたシュラフの中で惨めで不愉快な夜を過ごす。 
3日目
 テント場に荷物をデポし、前日と同じ6:00出発する。ガスって視界があんまり得られないが風が無いのが唯一の救い。昨日のフィックスを使って順調に2ピッチ登るといよいよ核心のボルト残置のトラバースゾーンに到着する。A0で1歩1歩ゆっくりと進んでいく。5mトラバースした辺りでいよいよ直上だ。草付にバイルを利かせ慎重に上がるが傾斜もきつく結構怖く感じ、立ち木にまめにランニングを取って行く。D9を超え再び100mぐらい稜線をラッセルするとようやく頂上の下に着く。2ピッチ上がり10:15やっとピークに到着。あいにくガスで展望は望めないが達成感にお互い満足。
登ってきたとこを慎重に懸垂して荷物をデポした場所まで戻る。時計を見るとまだ12:00今日中に下山することする。ちょっと危ないかなぁと思いつつもダイレクト尾根とP1稜の間の沢を降りて行くが思ったよりも早く15:00には車の置いてある場所に到着。服もプラブーツの中もビショビショになっていたがこの惨めな状況からもようやく開放される。帰りに蕎麦処「四つ角」で名物・蕎麦団子で今回のクライミングの幕が閉じる。

上楠木川より望む本院ダイレクト

D2をリードする小川

D7を後ろに登攀準備をする小河原

あいにく展望は望めないが感激の頂上

D9の残置A0トラバース

下山後は名物、蕎麦団子

 

 

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奥秩父・ヌク沢

 

 

日程:8月24日

場所:奥秩父 笛吹川 ヌク沢左俣右沢

メンバー:三田延(L) 小川 矢田 小林 森 加藤


 23日の晩、西沢渓谷入り口の駐車場を天場にする。
今夏の天候不順がうそであるかのように今晩は星空はきれいで、明日の山行の成功を約束しているかのようである。
 24日晴れ。5:30駐車場を出発。西沢渓谷への道を20分程で、ヌク沢橋に到着しここから入渓する。
最初に出会った5m程の滝は右から登る。抜け口の水流が多いが、ひるまずにじっくりスタンスを探しながら登れば問題ない。(写真1)
 次の5m程の滝は左から難なく抜ける。2段6mの滝は水流からはずれて右側の岩を登る。堰堤を一つ右側より高巻きしばらくすると登山道が横切る。前方には2つ目の堰堤が見える。ここが近丸新道の交差点だが、堰堤ができてしまって10年程前の記憶とはすっかり変わってしまっている。この堰堤を越えて小休止する。出発地点から1時間30分程である。 しばらく行くと5m程の滝があり右側を登る。小川君は果敢に中央の水流にルートを取る。(写真2)その後倒木のあるなめ滝を越え二俣に至る(8時20分)右側の枝沢の上部に林道の橋が見える。ルートを左に取り、6個目の最後の堰堤を越える。ナメ滝を越えてしばらく進むと奥の二股が現れ(8:40)ルートを右に取る(写真3)
続いて、階段状の滝がありいずれも快適に上れる。 このあたりから視界が開け明るくなる。3段260mの大滝である(9:10分)。
1段目は水流の右側から取り付く(写真4)。上部も難なくのぼれる。(写真5)
2段目は水流が3つに分かれている。今回はザイルの不要な右側から取り付き上部も水流のない右側のルンゼ状を登る。
3段目の滝(10:00)は、今回は登らず右側を大きく高巻く。左側が登れそうである。上部の滝を高巻いていると、巻き道をフィックスロープで登っているパーティーと交差する。こんな所へ、いつどのルートで来たのだろうと唖然とする。前日入渓し2日目ということだそうでこの滝を下部からかなり大巻きしているようである。かれらを追い越して上部滝の落ち口に出る。上部の巻きは大巻きになる。
 本日の花、オタカラコウ(写真6) 後は階段状の滝をいくつか越えて確実に稜線を目指す(写真7)。沢筋の灌木がうっとうしくなるなるころ、左岸に踏み後をたどると30分程のヤブコギで登山道に出る。ここから木賊山まで20分ほどである。(写真8)
 木賊山でゆっくり休息し、戸渡り尾根を徳ちゃん新道沿いに下り駐車場へたどり着く(15:40)(写真9)

写真1:最初の5mの滝。

写真2

写真3:奥の二股。

写真4:3段260mの滝の1段目。

写真5

写真6:オタカラコウ

写真7

写真8:木賊山山頂記念写真

写真9:戦い終わった戦士達。

 

 

 

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九州クライミングツアー

 

 



ことのきっかけは森さん、矢田氏、小林さんの3人で行ったT-WALLの帰りの居酒屋での席だったみたいだ。「矢田さんの誕生日で誕生日割りのチケットを買い、何処かに行こうか」と話が盛り上がり、場所は森さんも詳しいしこの時期だし九州あたりが良いんじゃないかとほとんど決まり、すでにその席にいなかった僕もメンバーに入っていた…。そして、気が付いたら飛行機は離陸していた。
10/17(金)の最終便の飛行機で宮崎空港に到着する。カミさんの実家がある小林さんと一旦別れ、3人は比叡山の麓の駐車場目指しレンタカーを走らす。
10/18(土)初日は更にそこから車を走らし、40分ほどのアプローチで入れる雌鉾岳を登る。ルートは取り付きで決め『サブマリンルート』を登ることにする。3人なので下部4ピッチぐらいを矢田氏、上部を僕が担当することにする。順調にロープを延ばして行く、快適に登る。が、よくよく考えるとアレが無いアレが、話では聞いていたが殆どボルトが無い。下部は40mで一個くらい。確かにそんなに難しくはないがもし落っこちたら相当ヤバイナーと、登っている矢田氏を見上げる。多少ルートをずれながらも登って行き、トップを矢田氏→僕にチェンジする。「やっぱこんだけランナウトすると怖ーなー、落ちたらこれ墜落係数2だね」と独り言を言いながら登り、ルートもY+の核心のスラブに入る。さすがにここはボルトが多くなってるがそれでも3〜4mぐらいの間隔で結構ビビル。慎重に登り、ルートを抜け一番上の坊主の頭に登り暫く景色を眺める。やっぱマルチは良いね。その日は日之影温泉で小林さんを合流し比叡山の下の駐車場にてプチ宴会をする。小林さんが持って来てくれた。芋焼酎&馬刺し最高☆
10/19(日)朝、森さんの知り合いの山下さんという女性と合流、森さん、山下さん、僕のパーティーと矢田氏、小林さんのペアーでニードル左岩稜を登る。快適なフェースの中に所々クラックが走り、変化に富んでいて楽しいルートだ。この日はその後場所を広滝スラブに移す。
10/20(月)前夜ルート偵察をしたにも関わらず、殆ど獣のような感じで取り付きを探す、殆ど人も入ってないようだし、ここ最近の台風のせいかかなりアプローチも悪い、結局コースタイムの3倍ぐらい掛かりようやく取り付きに着く。そして矢田氏&小林さんのペア、僕&森さんのペアで左ルートを登る。ここもそうだろーなーと思っていたがやはりボルトは無い&怖い。結局一本登ってみんな満足。明日はやっぱり比叡山にしようを再び車を走らす。
10/21(火)今日は森さんと小林さんの最終日。早めに下りて空港に行こうということで矢田氏&小林さんペアでTAカンテルート。僕&森さんペアで3KNルートをお互いつるべで登る。この日も天気は快晴。みんな満足で下りる→回転寿司→宮崎空港に到着して先に帰る2人と別れ再び比叡山の駐車場に向け車を走らす。
10/22(水)FYKルートを登る。出だしからいきなり10cのスラブ&フェースでかなり手ごわいトップの矢田さんも苦労している。結構時間が掛かる、抜けてその後W+を2ピッチ登り、第二の核心が現れる。ルートは2本取ることが出来、右が10a、左が10bのフェースだ。もちろん左に突っ込む。下の階段状のフェースを登りそこから少しトラバースして50pぐらいのハングを超える。そこまで大分ランナウトしていておまけに最後に取ったプロテクションも折れそうな細い木だったのでかなり緊張する。「ううぉぉぉぉぉぉーーー!!」と気合いで抜ける。が、事件はその後に起こってしまう…。今回僕が持ってきたクライミングシューズは普段フリーで使っている物を持ってきた。ちなみに僕は自分を痛めつけるような激小さ目がお気に入り。したがって15分も履けばかなり痛い、登っていればその緊張感で足の痛みは忘れてられるがそのツケはビレイ点に着くと物凄い痛みで押し寄せてくる。セルフビレイを取ったらまずシューズを脱ぐ。もちろん落としたらまずいと細心の注意を払う。次のピッチを矢田氏が登り終え、僕の番が来る。シューズを履こうとカラビナから外そうとする。「うううぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!!」さっきの気合いを入れた時より大きな声が出てしまった。右足のシューズを落としてしまう。どうやらねじれてカラビナに着いていたみたいでゲート側のを取ったつもりが逆のを取ってしまいその結果片方を落としてしまった。縦回転しながら落ちていくシューズに別れを告げ、右足裸足で行くしかない。幸い次のピッチはWぐらいの簡単なピッチ。フットホールドも大きいので安心していくことが出来る。右足スメア最高、しかし、ちょっとでもエッジになると最悪。続く次の5.9のピッチ。行くしかないと覚悟を決め、トップで登る。かなり恐ろしい。落ちて右足でおもっきり壁を蹴るイメージが頭から離れず、かなりビビリクライミングで登る。何とか終了点に着いた時はホントに喉がカラカラ。結局同ルート下降するも愛したシューズは見つからず…。
10/23(木)お互い疲れも溜まってるしシューズもない。そこでレスト&観光日にしようと車を前夜森さんに聞いた熊本のアウトドアショップ目指し、アクセルを踏む。が、そこにも自分に使えるのが無く結局博多まで移動して買うハメになる。
10/24(金)南面ばっかりなのでだったので北面にも行ってみようと行ってみる、風は無いが日陰でかなり寒くおまけに結構コケコケしてX+ぐらいでも結構緊張する。後で地元のクライマーに聞いたら殆ど登られて無いらしい。やっぱり…。
10/25(土)今日の夜には宮崎空港のそばに移動するので事実上の最終日。失われた草つきルートを登る。ルートグレードこそW級上と低めだがルートの中に2ピッチY級が入っていてそれなりに楽しめる。
10/26(日)ホントの最終日。飛行機に乗って帰るだけ。しかし昨日とんでもない所に泊まってしまった…。宮崎空港の近くなら何かあるだろーと適当に思っていたが何にも無かった…。正確にはその1つを除いては。しかし、「ここだけは…」と言ってはいられない。結局ダブルベットのラブホテルにヤロー2人で泊まるハメに…。こんな屈辱は人生初めてだ。これがこの旅の締めくくりとは。とほほ。

メンバー:矢田、小川、森、小林

 

文:小川

   

下から見た図。

ボルトが無い。 

核心のスラブ。 

 

ルート確認している図。 

 

 

比叡山の駐車場にて。

 

 

 

 

 

 

 

 

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