習  慣


ジュリアスはクラヴィスの髪を手に取った。重みのある艶やかなそれに口づける…。

と、長い黒髪をやおら三つ編みにし始めた。

あみあみあみあみ。

あみあみあみあみ。

あみあみあみあみあみあみあみあみ。

編み上がりを点検し、「完璧だ」と満足そうな呟きをもらすジュリアス。<何ごともおろそかにせず、真剣に取り組むヒト
それが終わったら今度はクラヴィスがジュリアスの金髪をあみあみ。
「こんなところでよかろう…」適当に編み上げて、ジュリアスに同意を求めるクラヴィス。
「怠惰なそなたがやったわりにはまあ上出来の部類か」
薄闇の中でひそやかに笑い合う。

時は深夜。ところは天蓋つき巨大ベッドの中。
二人は共寝をする夜は必ずお互いの髪を編み合うのである。
大の男が二人でなんでそんなことをやってるのかって?
何しろ二人そろって長髪だ。これはなかなかに大変なことなのだ。

ばさばさっ。翻る髪がくすぐったい。うっとうしい。
へたすると顔に覆い被さって前が見えなくなる。
うっかり下に敷いちゃうと引っ張られて痛い。
等々、不都合だらけだ。
せめて編んでおくくらいのことはしないと、ついには絡み合っちゃって身動きが取れなくなるのであった。





■BLUE ROSE■