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『デスノート』について

ほんっとうに今更過ぎるんだけど、ずっと引っかかってたことがあったものだから。あのコミック読んだことない人には何のタワゴトかって感じなんで、この先はご興味持たれた方だけどうぞ。

デスノートの主人公である夜神月の父、総一郎は警察官の鑑とも言える硬骨漢です。これ以上ないほどの堅物日本男児。そんな男が息子に「月(読みは『ライト』)なんて名前つけたりしないんじゃないかなあと、ふと疑問がわいたわけです。ではこれは母、幸子のシュミか? と思いきや、こちらも古き良き日本の母、夫に従う妻という感じで、そんな、マンガの主人公のような名前(笑)をあの総一郎の意向を無視してまでつけたがるような女性ではない。

ではなぜ月は月なのか。
じつは本人の希望だったりして。むろん、いかに天才的な頭脳の持ち主といえども、生まれ落ちたその時に「お父さんお母さんこんにちは。僕は……自己紹介しようと思ったけど、まだ名前ないんだっけ。僕の名前は月にしてください。あ、読みはライトでお願いします」なんて言ったはずもなく、成長過程のどこかで改名したに違いない。私の想像する経緯は以下。一応、本編中のエピソードを下敷きにしてます。

*

夜神月が夜神月になったわけ

総一郎「新生児のわりにはしっかりした顔をしている。……うむ、この子は月之介と名付けよう!」
幸子「いい名前ですね、あなた。つきのすけ〜、お母さんですよ。ああ、早くお母さんと呼べるようになってほしいわ。ああでも、あまり早く大きくなってしまっても寂しいかもしれないわね。お母さん、悩んじゃう」
総一郎「ははは、まだ生まれたばかりじゃないか。心配性だな、君は」

みたいな会話があって。元々は「月之介」と名付けられたのであった。

しかし、独特の感性を持つ月之介は自分の名前を「ダサい」と嫌っていた。いい子の優等生だから、そんなことはおくびにも出さず中学生まで成長したわけだが、生意気盛りのあるとき父と口論して、口がすべった。
「父さんはセンスが古すぎるんだよ! 僕の名前だって……月之介って何だよ! 時代劇じゃないんだから。僕はもっと現代的な名前が好きなんだ!」
「親にもらった名前が気に入らないとは何事だ! 母さんだっていい名前だと言っていたんだぞ!」
「父さんや母さんのことは尊敬しているけど、それとこれとは話が違う! 僕は改名する!」
「勝手に決めるな、月之介!」
「月之介って呼ぶなーーっ!!」
「わかった、それなら何か誇れるものを私に示してもらおう。そうだな……たとえば何かで日本一になる、そういうのはどうだ? それができたら考えてやろう」
日本一だぞ、そう簡単にはなれるまい、という父の憫笑を受けて、月之介は言い放った。
「わかった、日本一だね。そうしたら改名を認めてくれるんだね、父さん」
「男に二言はない」

こうして月之介はテニス部での部活に精を出して、中学生チャンピオンとなった。
「父さん、約束の日本一だよ」
「そうだな、月之介。……で、名前は考えてあるのか?」
「ライト。月という字でライトと読む。ちゃんと父さんのつけてくれた名前も生かしてると思うけど?」
このとき総一郎を襲った衝撃は計り知れないものがあった。

この私の息子が、ライトおおおおおっ!?
なんだその外国かぶれな名前はっ!! 許さん、許さんぞ!
だが……約束は約束だ……。

男に二言はないのだ。こうして夜神月之介は夜神月となった。


この後月はテニス部を退部、もっとテニスを極めないか、君ならプロも目指せるという声にも耳を貸さず、
「目的は達した。遊びは終わりだ」
との言葉を残して、テニス界から消えた。
(2010/04/25)





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