最後の肌

「勘弁してくださいよ!!やですって!」

ゴドーに腕を引っ張られながら、成歩堂は懸命に身体を離して首を振る。にやにや顔のゴドーはいいからいいからと半ば強引にその逃げを打つ身体を引き寄せた。褐色の腕の中に抵抗空しくすっぽりと入ってしまった成歩堂は、それでもにじにじと腰を動かして最後の抗いを示していた。

後ろから抱え込むような形となったゴドーは成歩堂の耳に齧りついてその力すら奪い去ると、唯一身に着けていた下着の中に手を差し入れた。さわさわと肌を弄るその感触に思わずふっと息を吐きつつ、成歩堂は恨めしげに首を回してゴドーを見上げた。わざとらしくその瞳を仮面の奥から見つめてみると、また一段と眉が顰められていくのが分かる。宥めるようにその眉間に軽く唇を落とすも、その表情には変化が現れなかった。

「これどころじゃねえ事を何度もしてるだろうが。」
「そ、それとコレとは違います!」
「後は此処だけなんだ。な・・・、まるほどう。」
「うううっ・・・!」

甘い懇願・・・というよりほぼ命令に近い言葉を耳に落としつつ、ゴドーはするりと成歩堂の下着をずらしていった。手で膝辺りまで落としたところで器用に足を使って踝まで引き降ろすと、諦めたかのように成歩堂はそれを足でひょいと放り投げた。ふるりと小さく震えながら途端に露わになった白い肌にゴドーはごくりと喉を鳴らす。・・・その視線の先にあるものは、現在もずっと掌を宛がっている、艶やかに光を反射している双丘だった。


ゆらりとゴドーが膝を落とし、徐に仮面を外して足元に置くと手を添えているその滑らかなラインに頬をそっと寄せていく。膝立ちの状態でほんの少しだけ頬に冷たさを感じながらも、まるで上等な陶器の様なその肌触りにゴドーはうっとりと目を閉じる。

両手は脇からずるりと体側を辿り、男としてはあまり骨ばっていない腰骨や太ももの感触をその掌に覚えこませていった。成歩堂はそこにただ立っているだけで。ゴドーが尻にすりすりと顔を擦りつける様を必死に目を瞑って耐えていた。

日に当たる事は殆ど無いその白い双丘は、今までで唯一ゴドーが顔を触れさせていない箇所だった。いつもの情事の前、ちゃぷりと唾液を含ませて深い口付けをしながらふとそんな事を思い出したゴドーが、あろうことか成歩堂に『尻にほお擦りをさせろ』と言い始めたのだ。当然成歩堂はそんな事は嫌だと拒否を示したのだが・・・先ほどのやり取りのように、半ば無理やりにその行為に至る羽目になってしまったのだった。

抱え込むようにゴドーの腕は成歩堂の太ももから前にクロスしており、へそ付近に手を添えている。成歩堂がゴドーの鼻や頬の感触を後ろに感じてしまうだけで、ざわざわとそこから何かが脊椎を通じて全身を駆け巡り始める。まだ何もしていないというのにと、成歩堂は己の身体をきゅっと抱き、羞恥に耐えろと唇を噛み締めた。ここで何か言葉を発してしまったら、それこそゴドーの思う壺という事は短くないゴドーとの付き合いで成歩堂にも分かっていたのだ。

「・・・ここの肌触りが、一番かもな。」

ふうと感嘆のため息を零しながらの言葉に、またぞわりと成歩堂の全身が粟立った。成歩堂の脳内はただ同じ言葉を繰り返すのみ。『このオッサン、最低だ!』と。

そんな成歩堂の気持ちをよそに、実に心地良さそうな表情のゴドーはまたすりすりと顔全体を双丘に擦り付けた。男の尻にここまで没頭するとはとどこか冷静な言葉が沸いてくるも、それを一蹴するほどの魅力が其処には詰まっていた。一先ず肌触りは堪能したと、ゴドーはまた仮面を装着し、今度はその肉そのものを思う様味わう事にするのだった。

見た目にも瑞々しい肌は手や顔で触れる感触にもその豊潤な水分量を示している。軽く指の腹で最も小高い丘を押さえると表皮の柔らかな抵抗の奥に、ふわりと優しい皮下脂肪と筋張った確かな肉が存在しているのがわかる。その3層のバランスの良さと質感のギャップがこの素晴らしい弾力を生んでいるのかと、ゴドーは大きな手でその肉をきゅっと寄せた。

緊張で少々強張ってはいたが、容易くゴドーの手によって形を変えたその箇所を軽く持ち上げてから手を離した。ぷるんと弾けて元に戻るその様子にすら、ゴドーは感動を憶えて熱く吐息を零す。

元々成歩堂の肌は男には有るまじき滑らかさを誇っていたが、ここ双丘の肌はその中でも超一級品なモノだった。更に加えてこの何時までも飽きさせない、肉触感。ある意味想像通りであり、ある意味期待を裏切る其処に、ゴドーは膝立ちで痺れる足すら忘れて夢中になっていった。

まさか、ここまでとはな・・・。恐れ入ったぜ。

ゴドーは眼前でふるりと揺れる美味しそうな白い桃に齧りつこうとして、・・・ふと成歩堂の様子を見上げてみた。きゅっと腕を抱きつつ肩を竦めて身体を小さくしながら、僅かに震えているのか特徴的なとんがり頭の先端が揺れているのが見える。顔は軽く俯いているので後ろに居るゴドーからその表情は伺えないが、雰囲気で分かる。ただ尻に頬擦りしているだけだというのに・・・成歩堂は健気にも必死で声を抑えていると。

にやりと邪悪に笑いながら、ゴドーは大きく口を開いて小高い丘からぬらりと舌全体を使って舐め上げた。歪に形を変えるほどの力を込めて熱く湿ったモノが其処に触れた事を感じると、成歩堂は思わずくっと息を詰める。今度は舌先を尖らせて尾骨から丸くカーブを描くラインに舌を巡らせ、ぐるぐると丘の一つ全体に唾液を塗りこんでいった。その刺激にきゅっと力が込められて、ふんわりと盛り上がっていた肉がなだらかなエクボを作り出した。

もう片方の丘にも出来上がったそのエクボには頼りなく指でついとその形を成歩堂に示してやり、先ほど満遍なく味わったぬらぬらと唾液が光を反射している方の丘には軽く歯を立てて齧りついた。

「・・・はっ・・ああ・・・。」

耐えられなくなってきた成歩堂の、甘さを含んだ吐息が漏れた。しまったとまた口を閉じるも、一度決壊してしまったモノは中々元には戻らない。ゴドーの方もやっきになって執拗に尻を愛撫してくるものだから、もう呼吸をするだけでも僅かに声が混じるようになってしまう。

元来その場所は人体の中でも殊更に鈍い場所のはずなのに、ゴドーによってすっかり後孔が性器として開発されている成歩堂は、その舌の熱の篭った道筋も窪みを辿る指先も全てを敏感に察知してしまう。そして、体内で暴れまくる熱を憶えこまされているこの身体が・・・これだけでは全然物足りないという事を、思考が蕩け始めた成歩堂は自覚していくのだ。

これで成歩堂の身体全てに顔を寄せたとようやく満足したゴドーは、やわやわと肉を揉みしだきながら成歩堂をもう一度見上げた。ぴくぴくと僅かな指の刺激にも反応を返し始めた事ににやりと笑みを浮かべながら。

「・・・、どうして欲しい?コネコちゃん。」
「あ・・・。」

成歩堂はほろりと涙を落としながら何とか『お願い』をゴドーに告げると・・・ゴドーは先ほどまで実に美味しそうに蹂躙していた肉を易々と割り開き、今度はその奥へと顔を埋めていくのだった。





だるまいとさまのサイトで掲載されていた、ナルの桃尻話が忘れられなかったんです(笑) だって、だるまいとさまのナルってプリップリで美味しそうだから・・。(理由になってない)