AQUALOVERS ミツナルver
「一緒に風呂に入らないか?成歩堂」
「またずいぶん直球だなぁ。嫌だよ」
夕食を終えて紅茶を飲みながらソファーで寛いでいる成歩堂にふいに御剣は云った。
成歩堂はローテーブルにティーカップを置いて不埒な誘いをかけてくる恋人を軽く睨む。
「何故だろうか」
「恥ずかしいからに決まってるだろう!」
「みえなければ恥ずかしくはないであろう」
「え?」
ニヤリと笑いながら御剣は成歩堂の腕を引っ張り、些か強引に浴室へといざなった。
「うわあ…」
半ば無理矢理連れて来られた浴室で成歩堂がみたものは。
見事なまでに立派な泡で覆われた湯舟だった。
「意外と好きであろう?こういうの」
確かに入った事のない泡風呂に興味があったし、これならお互いの躯が隠れて恥ずかしくないかも、とも成歩堂は思って諦めたように云った。
「…解ったよ。入るよ」
*****
「…やられた」
「何がだろうか?成歩堂」
「泡だもん。そりゃー溶けるよな」
最初のうちこそ外国映画のワンシーンみたいな泡風呂にはしゃいでいた成歩堂だったが、所詮、泡なのだ。
時間とともにみるみる泡は湯に溶けてなくなってしまった。
「フッ…!今更気付いても遅いな、弁護士クン」
御剣は喉の奥でクツクツ笑うと、あっという間に成歩堂を胸に取り込んだ。
背中に合わされた御剣の胸から伝わる鼓動がいつもより早く脈打つのを感じて、成歩堂は首を後ろに向けると小さく笑った。
「何がおかしいのだ、成歩堂?」
「ふふ…御剣も緊張してる、の…?」
「ああ。灯の明かりの下で余すとこなく君を堪能できるのだ…ゾクゾクする」
普段成歩堂を抱く時は彼の意思を尊重して、極力部屋の明かりは絞っている。
行為の最中に成歩堂が感じている自分を認識しない為に。
それは男の身でありながら、同じ男の自分を受け入れてくれる成歩堂に対しての御剣なりの誠意だった。
「…だが、たまには全身で私を感じてくれている君がみたい…」
日頃、何も欲求してこない成歩堂に対して不安を憶えた弱さからくる言動だと。
成歩堂もわかっているから、湯舟から立ち上がると自分から全身を惜し気もなく晒して。
「御剣と…ひとつになりたい…」
羞恥心やら、プライドやらをかなぐり捨ててねだった。
眼前の、陽に焼けていない適度に筋肉のついた引き締まった躯に。
「綺麗だ…」
御剣はうっとりと呟くと、湯舟の縁に成歩堂を座らせて彼の自身を口に含んだ。
「あぁ…っ!」
途端に漏れ出る甘い声に誘われるように御剣はさらに深く咥えこむと、尖端をこじ開けるように舌でつつき、口に入りきらない棹を大きな手で擦ってやる。
「ん!あっ、あぁ…っ…!」
快楽に震える膝の間から見上げると、愛しい恋人が自分の愛撫を受けて淫らに感じてくれている姿が湯気の向こうにみえて。
(たまらない、な…)
御剣は自身が熱を帯びていくのを自覚した。
本当は今すぐにでもナカに挿れて、熱い胎内で直に成歩堂を感じたいが、自分の我が儘をきいてくれた健気な恋人にこれ以上の無理は強いたくなかった。
もっともっと気持ち良くしてやりたくて、御剣はもう片方の腕を伸ばして成歩堂の胸に触れる。
ぷくりと尖った突起を捏るように刺激すると、押し寄せてくる快感に成歩堂は身悶えた。
「ん…ふっ…うっ!も、駄目…っ…!」
びくん、と背中を震わせて達した成歩堂の白濁を御剣は余す事なく飲み込む。
荒い息を吐きながら愉悦の表情を浮かべる成歩堂は壮絶なまでの色香を放ち御剣を翻弄する。
「最高だ…成歩堂…」
成歩堂の口の端から零れる唾液を親指の腹で拭うと、御剣は紅をさすように成歩堂の唇にそれを塗り込めた。
「ン、ふ…ぅ…」
緩やかな刺激がもどかしくて成歩堂はちろちろと舌を覗かせながら御剣の親指を舐めあげる。
そんな仕種に御剣はいやらしく嗤うと、弄ばれている親指を成歩堂の口腔に押し込んだ。
ちゅくちゅくと湿った音をたてながら指を吸う姿に煽られた御剣は、唐突に指を引き抜くとまだ脱力している成歩堂を抱き起こして床に座らせる。
「みつ…るぎ…?」
状況が理解できずに見上げてくる成歩堂の顎を掴みながら湯舟の縁に腰掛けると御剣は。
「今度は私のを咥えてくれないか?」
情欲に濡れた瞳で成歩堂をみつめた。
熱を孕んだ双眸に支配されるままに、成歩堂は御剣の昂ぶりに唇を寄せると、迷いもみせずに舌を這わせる。
拙いながらも手や舌で必死に奉仕する成歩堂に、御剣が我慢できる筈もなく。
「ムウッ…!」
小さく呻くと成歩堂の顔に白熱を注いだ。
成歩堂は手の甲でねとつく液体を拭うと、さながら猫のようにペロペロとそれを舐めとる。
精液にまみれた、恍惚とした表情はあまりにも淫猥で、御剣の背筋に寒気にも似た感覚が走った。
「んん…っ!」
性急な動作で立ち上がらせられた成歩堂は、嵌め込まれている鏡に突っ伏すように押し付けられるのも、御剣が背後から覆いかぶさるように躯を密着させてくるのも喜々として迎えいれた。
その先を甘く切なく期待しているから。
御剣が背中越しに肩に顎を置き、耳を含むと成歩堂の躯が面白いように跳ねた。
「ひ…っ…!あ、あんっ…」
成歩堂の躯を隅々まで熟知している御剣は、舌先を尖らせて耳の中に捩込みながら弱いポイントを確実に攻め立ててゆく。
崩れ落ちそうになる肢体を逞しい腕で支えながら、御剣は肌のすべらかさを愉しむように、平坦な胸に指を這わせる。
襲いくる快楽の波と鏡に映し出される淫らな自分の姿に成歩堂は翻弄されながらも、涙を流して御剣に懇願した。
「御剣っ…!お願…いっ、もお…挿れてっ…!」
腰を突き出してねだる成歩堂に、すでに限界だった御剣はボディーソープを手に出すと成歩堂の後孔とそそり立つ自身に塗り、一気に貫いた。
「ひああぁ…っ!」
待ち望んだモノはボディーソープの助けを借りて、なんの抵抗もなく成歩堂の奥に侵入を果たすと、強弱をつけながら容赦なくナカを蹂躙する。
穿たれた杭から、揺すり上げられる度に擦れる背中から、耳元にかかる吐息から御剣の熱を全身で感じながら成歩堂は。
このまま熔けあってしまえればいいのに、と思った。
「んう…!あ、ああぁ…っ…!…はあっ…!あ!」
「!く…っ!」
意識を自分に戻させるような御剣の激しい打ち付けに、成歩堂が耐え切れずに達すると、一瞬遅れて御剣も胎内に想いの丈を迸しらせた。
「ん、あ、あつ…」
もっとも自分に近いところで放たれた、火傷しそうな御剣の情欲の証に成歩堂の膝が折れる。
弾みで触れたシャワーのコックが下がり、頭上から温かい雨がふたりに降り注ぐ。
疲労の色の濃い恋人を抱き起こしてやろうと手を伸ばしかけた御剣は、だが思わず手を引っ込めてしまった。
鏡に映った成歩堂が、虚ろな眼差しで夢見るように囁いたから。
「ねぇ、御剣…このまま…ぼくたち、ひとつになってしまえればいいのに、ね…」
狂おしい程の刹那の余韻の中で…
世界がぼくらを失えば…
すべては闇にさらわれるのに…
極上の笑みを浮かべたまま意識を失った成歩堂を。
御剣は愛おしそうに抱きしめた―――
end20080918
4万hit記念のフリー小説との事で、『 奇蹟 』の池之神聖士朗さまから貰ってきました。
ミツナルも捨てがたいv
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